あれから数日。青い空の下。風が吹き抜けるそこで、深くため息を付いた。
あの日を境に、暴力事件が多発している。それも…氷帝の生徒ばかりに…なんて、考え込む。誰か個人的な恨みをもっての行動か、それともただ単に変質者の増加が。今の段階ではまだなにも言えないがどちらとしても対策を打たないといけないだろう。考えることが多すぎる。
「景?」
『…侑士か…』
「なんや、暗い顔してんなぁ、っちゅーても、さっしつくけど」
隣、座るで?
なんて、有無も聞かせずに、私の横に腰掛けた。
屋上はガーデニングテラスになっている。とはいっても、この空間は暗黙の了解といったところでなかなかヒトがくることはないし、今いるのは私たちだけだ。
「物騒な…世の中になったなぁ」
『…えぇ…』
「景ちゃんも、気ぃつけな、喰われてまうで?」
『悪いけれど、そんなヘマはしないわ。』
侑士の言葉にため息をつく。私が襲われるわけが無い。教われたところで逆に返り討ちにしてやるわ。
実際にできるかどうかなんてわからないけれど、なんの抵抗もせず愚民にやられるなんてまっぴらだもの
『・・・侑士。』
「なん?」
少し考えてから、彼を呼ぶ。そうすればレンズ越しにあった視線に、小さく笑ってしまった。
『もしも、よ、私が・・・貴方達を裏切ったらどうする? 例えば・・・そうね・・・ ここから、飛び降りて死んだりしたら。』
いいながら、立ち上がる。
立ち上がって、綺麗な青を広げるその場所に、一番近いところに歩いていく。ただそこには安全のために翼を広げないためのフェンスが隔ててあるけれど。
でも、思った以上に言葉になっていた。マイナスになってしまってはいけないなと、小さくわらって振り返ったのだが、私の言葉に侑士なんて、固まっているし・・・
あぁ・・・これじゃあ、自殺志願者ね、なんてそのまま言って見せたが、考えてるのか、侑士は黙っている。
「…それ、景の本音なん?」
『例えばっていったでしょ?』
「例えば、な。せやま。んなら止めるか一緒に死んだるわ」
『後はおって欲しくないんだけど。』
今度は私が苦い顔をする番だった。まさかそんな答えが帰ってくるとは微塵も思わなかったから。というよりも、死んでほしくないもの、これはたんなる例えばの話しだけれど、
「ま。そんときは、俺がきれいに殺してやるから安心し」
『あら、でも遠慮しておくわ。忍足の将来にドロを塗るわけには行かないもの。』
二人だけの空間は酷く心地がいい。
侑士とは結構長い付き合いになるからかもしれないけれど、樺地はもっと長い。って、私には理由が無いから死ぬ気はさらさら無いんだけれど
でも・・・まぁ・・・
『(仲間に看取られるなら・・・)』
…いいかも、しれないわ
01伴奏が流れ出す
破滅はすぐそばに
再1904
→
list
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -