澄み渡る蒼の景色。
春の訪れを知らせる、かつての氷の国はあまりの変化についていけず、新たな国王に反逆し、高い塔にいる女王に許しを請いました。
けれど、国民の前には女王を護る騎士が立ちはだかります。
『何の用かしら?』
現れた女王は、苦する国民に、笑いかけました。
ひどく美しいドレスをまとい艶やかに微笑んで見せました。
さぁ… もう、終りにしましょう?
あの事件から数ヵ月。
放課後のテニス部の部室のなかで、景は静かにPCとにらめっこをしていた。
完全なセキュリティを兼ね備えたそれは、現在生徒会のネットワークに使われているものである
個人情報は理事長と校長のパスワードがなければ開くこともできないが、体育祭や文化祭などの行事もとは掲示板やチャットのような場所に展開され、そしてそこで話し合いが進められている。
そこのセキュリティは跡部財閥の新事業として景が大手企業と手を組んで作り上げたものだ。
だからこそ、試作として使われているものである。
「景ちゃん、ほら、はよせんとミーティングに遅れるで!」
『あぁ、今行く。』
区切られた空間。面白いくらいに、穏やかな時間だ。
ぱたりとPCを閉じて、そして立ち上がり、かけていたジャージに袖を通した。
彼女を呼んだのは忍足侑士だ。そして外に出れば、コートに手を振る岳人や鳳がいる。
「景ー!ほら、早行くEこー!」
『ごめんなさい、今いくわ。』
慈郎が彼女の背を押しながら笑う。昔のような歓声はない。
それでいい。それが彼女たちの決めた結果だ。
愚民はいらない。いるのは、忠実な騎士だけでいい。ともに、世界へ戦う、騎士。
35 女王が選んだ道
(じゃあすこし、戻ってみよう)
(あの日の空に)
再1904
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