その事件が起こる少し前に、その青年はただ、苦悩に悩まされていた。
重要な家臣の地位にいることはわかっていたしそれこそ己も、その気高い女王に惹かれて生徒会の役員になり、彼女の信頼を勝ち取ってその右腕的存在になれたこともわかっていたのだ。
けれど、カリスマ性のある女王と、特になんの変哲も無い青年とでは、誰が誰に気を惹かれるか分かりきっている。青年は、悔しかった。同じ世界にいる、同じように皆を助けようとしている、同じように、同じように同じように、同じように・・・
そう、ただ、女王とおなじ景色を見ているのにも関わらず、女王は自分の何百倍も先を見据え、そして国民のために動き、賛辞を得る。
なのに、自分は攻められてばかりであり、ただの平民上がりだ。。
けれどそんなこと、青年は分かっていた。ただ、ただ、自分の努力を知って欲しかった。
そう、知ってほしかったのだ。
些細すぎる努力かも知れないが、わかってほしかった。
っくそ…っ
だから、青年は…、自らの旗をとった。
彼女の美しいドレスを引き裂き、そして断頭台にまでたたせて、
けれど、結局、彼女を愛していた、彼女の守ってきた民に勝つことはできなかった。
ただ、それだけだ。
31 タンホイーザが望んだこと
それは、新しい革命を起こすこと。
それは暴動といわれ、歴史に黒を残したけれど
1904
←
→
list
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -