*-*Shishido Side*-*
今はかけがえのない俺たちの中心だが最初は俺は景のことなんて大嫌いだった。
中一の時、威風堂々と生徒会長だなんだと一年のなかでのしあがり、テニス部でもふんぞり返ってたあんな姿、あんなふうに出会わなかったら多分もっと早い段階で仲良くっつーか、信頼関係ってのが築けただろう。
その点では忍足が俺たちの中でも秀でてるのはわかってる。それは彼女と同等にテニスが上手くて中身が大人だったからだろう。
俺が景が嫌いだったのは女とかじゃない。確かに景は強い。でも、人を見下す態度が、気に喰わなかった。
『私からも、お願いします。』
景に対するそんな感情が変わったのはあの日。
俺が試合で負けてレギュラー落ちして滝を試合で負かしたのにレギュラー復帰できなかったとき。俺だけの問題なのに、景は俺を庇った。あの女王が誰かに頭を下げる姿を俺は初めて見たんだ。
仲間だと言ってくれた。それが、ただ、本当に嬉しかった。
「宍戸さん、景さんが始めるようにと。」
体育館の舞台裏。無線機を片手に持った長太郎が俺に言う。
景がすべて内密に準備していたことで、俺たちが最近知ったことだったが、これは全てを終わらせるための舞台。
「(っなんであいつだけが傷つかなけりゃいけねぇんだ!!)」
生徒会長として、今まで学園の為に頑張ってきた景がどうして、その学園に裏切られる。
あいつの努力を誰も知らないくせに…あいつの本当はもろい心を誰も知らないくせに、たくさんのものを背負わせていたくせに、簡単に手のひら返しやがって。
ひらりと放送室に向かってペンライトを振れば静かに巻くが上がっていく。
これは俺たちの女王の真実を伝え、そして裏切り者を裁くための舞台だ。
23 怒れる騎士
それは仲間を思う心
再1904
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