*-*Taki Side*-*
雨が降る音を聴きながら目の前で放送器具をいじる景を見る。
正直景がこんな裏方の仕事をしているのを、こんなに間近で見るのは初めてだったし、正直彼女がここまで放送機器に詳しいと思っていなかったからこそ物珍しいという感情もある。そんな俺の視線に気がついたのか、景は顔を上げれば彼女の美しい瞳が俺を写してくれた
『どうした?』
「ううん、景は綺麗だなって。」
不思議そうに首をかしげた景にさらっと言ってしまったが、『アーン?私は美しい、当たり前だろ?』と照れることもなく返されてしまった。
流石は僕たちの女王様だ。謙遜することもなく、自分の魅力をわかってらっしゃる。
隠すこともなく笑ってしまった。
そう、俺が景に惚れたのはこの信念のまっすぐとおった自信にあふれてる瞳だ。
光の加減で氷のように透明な青に変わる景の瞳はどんな宝石にも劣らないし正直宝石よりも価値がある。
きっと気がついてるのは俺だけじゃないと思うけどね。
「はは、ナルシストだなぁ」
『くく、分かっているさ。』
さりげなくいった言葉だったけど返ってきた言葉に小さく心の中で驚いてしまったのは仕方が無い。これは本当に珍しいことだと思った。
確かに景は自分の容姿に自信があることを知っている。でもそれを茶化されるのはあまり好きではない。いつもなら『ふざけるな』とか、言うくせに。なのに、今日はその言葉に笑った。
景の頭を撫でる。こんなことをするのは初めてだけれど、さらさらと流れる景の髪に指を通せば『萩ノ助?』と心底不思議そうに首をかしげた。
「景、大丈夫だよ。」
まるで迷子の子供のように笑った景は俺だけが知る彼女の姿だ。
吐き出した言葉に少し驚いたように目を開いたあと、また小さく笑った彼女は一拍おいて『この私を子供扱いするとは偉くなったもんだなぁ、アーン?』といつものように強気にわらった。
21 慈しみの騎士
それは、心優しいその人
再1905
←
→
list
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -