#それは嵐の前の・・・
東京の、とある有名私立校。
もともと人気の少ない中庭に、連れて行かれた女子生徒と、男子生徒二人がやってきた。
その様子を誰もみていないとでも思ったのか・・・否か・・・
ーガタリっと、とある一室に居た銀色の髪を持つ女子生徒が書きかけの書類をとじてから立ち上がる。
「跡部?」
『少し、外すわ。休憩にしてて。』
「わかった。いってらっしゃい」
部屋を出ようとした女子生徒-跡部景-に疑問を持った同室に居た男子生徒の言葉に、一言だけ残して彼女は髪を靡かせて部屋をでる。
階段を下りていき、そして上履きのままに中庭までの最短距離を早足でいくのは彼女の感からだ。
近づくにつれて口論と小さな悲鳴を聞いて彼女の表情が歪む。
『貴方達、何をしているのかしら?』
酷く、低い、怒りのこもった地を這うような、その声だった。
開かれたそのアイスブルーの瞳は、氷のように冷たい。
人気の無いその中庭に、現在密度は0.1パーセントも満たない。
だがしかし、そこには跡部景という女王の威圧感がただあった、
「跡部・・・っくそ!」
「行くぞ!!」
どこの悪役か・・・
彼女の姿を捉えた男達はその場から逃げるために走り出す。その顔をしっかりと覚えてから息をはいて、取り残された女子生徒に駆け寄った。
がくがくと震えているその女子生徒に手を差し伸べる。自身には懐かしい、中等部の制服をみて、目を細めた。
「あ…とべ…様…?」
『怪我はないかしら…?助けるのが遅くなってごめんなさいね。』
その女子生徒が顔を上げれば、驚きに、今度は震えていた。
なだめるように、落ち着かせるように、景は女子生徒の視線まで、膝が汚れることも構わず下がる。ブレザーのボタンが飛び、スカートも乱雑に切られ、彼女の制服は見るも無残なものになっていた
『・・・保健室に訳を話せば制服は貸してもらえるけれど、今から注文して一日二日で新しい制服は届かないわ。保健室で貸し出し用の制服を借りた後、コレを返しに高等部の生徒会室に来なさい?』
「え・・・あ、あの!」
『私のお下がりでよければ、一度も着ていない制服がある。それを貴方に上げる。他の生徒には内緒よ?』
バサっと自分の着ていた高等部のブレザーを脱いで、微笑んだ。そして、身をひるがえす
「え、あ、あのっ!」
『返しにきてくれればいいわ、さっさと行きなさい。』
そういって一度も振り返らずに、景は校舎の中にはいって言った。
01.それは嵐の前の・・・
そして、曲は流れ出す
再1905
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