雨が降る。思いに染まった黒い雨が・・・
それは悲しみか、怒りか、嘆きか、懺悔か・・・それともそれを含むすべてのものかそれはまだ分からないけれど・・・
人々は確実に後悔することになるだろう。その雨は、壊された氷の世界に降りかかり、曇天を広げていく
それは、どういう意味か・・・
その様子を雨の当たらない場所にある高い塔の上から見下ろして、静かに女王は泪を溢した。
さぁ・・・当ててごらん・・・
キミ達はもう、黒い雨に染まりつつあるのだから・・・
集められたその資料を見て、ため息を着いた。
信じたくはなかったのだ。けれど、事実として形に残ってしまったものは仕方がないだろう。否定したくとも否定できないそれは、無念だけを胸にともす。
『私のせいなのかもな・・・』
小さく呟いて、デスクに突っ伏した。いまだ目の前に映されているのはリアルタイムで、責められている光景である。信じたくはなかったが、やはり本当の黒幕は・・・・
「景ちゃん、もうすぐミーティングはじまるでー」
『あぁ分かった。ありがとう』
呼ばれて、立ち上がる。PCをしっかりと閉じて、侑士の声に答え、部室を出た。いまや最盛期の半分もいなくなってしまったテニス部だが、時代を引っ張る面子が残ってくれてるのは間違いない。
なにより練習に励み、マネジメントに励み、人間観察を怠らず、そして差さえあっている姿をよく見ていた部員たちの顔だ。出ていった部員たちのことを心配するほど私もお人好しではないから。
それともうひとつ。私が生徒会をやめてから、というよりは、例の事件があってからまだ2月もたっていないが、だんだんと生徒会で仕事が回らなくなっていくのが目に見えていた。ばたばたと走り回る生徒かいの連中をみているが手伝うきもない。私が今まで少しでも時短にと活用していたデータや、中学から頭に入っていたことをいきなりやってみろというのがまずおかしい。
だがそれはまだ、慣れていないからだ。きっとときが解決していくだろう。
速水は吸収が早い、私の信頼の置ける部下だった。だからこそこれからも頑張ってもらわなくてはならない。これから私が起こすことで、どんなにこの学園が荒れようと・・元に戻してもらわなくてはならないのだから。
『侑士、』
「なん?」
ミーティングに呼びに来てくれた彼の名を呼べば、いつも道り振り替える。そう、いつもどうりだ。
それに頭のなかで何をいおうとしたか忘れてしまって、固まった。
静かに見開いてしまった目に、侑士が不思議そうな顔をしたから、わざと笑ってごまかすことにする、
『もうすぐ大会だと思ってな』
「あぁ、新規テニス部も出るとか文句言うとるけど、実力はこっちの方が上や、せやから全く問題はないで」
『そうだな。』
テニス部も、侑士がいるから問題はないだろう。
何があろうと、あいつらだけは悲しませたくないし苦労をかけたくない。
そう思うのは、間違いなく私があいつらをより近い存在だと認識しているからでまちがいはなかった。
10 だんだんと
世界は色を失っていく・・・
その色に染められていく二つの世界は・・一体どんなものへと変わっていくのだろうか・・・
再1904
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