崩れ、崩れて、何を残す。もう、何も残ってすらいないのかもしれない。
氷の世界に渦巻き始めた炎。相容れぬ二つの関係。
ともした青年の名はタンホイザー
彼は、何を求め、何を欲し、何を望むのか・・・
まだ、誰も知らないだろう。
些細なことからそれは始まり、大きな波紋を呼び世界を崩す。
崩れた塔。
その瓦礫の上に座り、小さく笑う、彼女は、この世界に何を思うのか・・・
彼女の気の休まるところはずっと少なくなった。
テニス部顧問である榊や保険医など一部の教師は信頼されているが、それでも跡部景という女子生徒の存在の大きさに妬みを持っていた人間は遥かに多かった。
だから、例え味方であっても保健室にははいれない。現在彼女が唯一心が休まると言えばテニスでもなく、静かなクラシックの流れる榊のテリトリーである音楽準備室ぐらいになってしまった
『侑士・・・疲れたかもしれない。』
「そか、やったら眠ってしまい。」
「部活のことはやっておくよ、」
ぽつりとこぼして音楽に耳を傾ける女王はただの人。
そっと優しく、髪を撫でた藍色の騎士。橙の騎士は優しく安心させるように微笑んだ。
07.氷の女王の休息
崩れた世界は、きっと、もう二度と戻らない。それは、どんな世界を意味するのか
彼女を堕とした愚民は気がつかない
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テーマ「人外ファンタジー」
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