世界は凍りつく。
花も、動物も、空も
心も…
凍り付いて、氷りついたその世界の中で・・・君臨する女王は、凍った花をいとおしげに見つめてキスを落とす。
彼女を守るのは、8人の騎士。そして、1人の家臣、
それは、裏切りか、それとも否か・・・
誰も、世界すら、彼女には知らせてくれないだろう。誰の侵入も許さない。
腕を組んで、部員を見る。殺意やら、何やらを含む目で、私を見ている、下級生やら同級生やら、まぁいろいろ、確かなのはここにいるのはレギュラーじゃない、平部員達だということだ。
呼び出された・・・否。私のところに直にきた、彼ら。といっても、私1人に50人以上とは圧倒的で、しかも、練習の邪魔。一度目を閉じて息を吐いて、再び開いて、全員を見た。
『練習の邪魔さえして、何をしているの?』
「跡部、アンタに言いたいことがあってきた!!」
『何時から貴方は部長である私にそんな口を聞くようになったの?』
「お前が部長とか関係ねぇ!!サッカー部の絆ぐちゃぐちゃにして、お前、それで満足なのかよ!!」
呆れたように告げてしまったのは態度を隠すつもりが欠片もなかったからだ。
そもそも、実力主義の氷帝のテニス部にこんな低能が居たことが驚きに思ってしまうが、うわべっ面だけで接してきていたんだろう。それかは女だといまさら見下しているのか。
けれど情報が回るのが随分と早いものだ。そこまで期待はしていなかったが速水がどうにかすると言っていた。
けれど、やっていないものはやっていない。
『私はやっていないわ。それが証明できないから、私は鍵の管理をしている生徒会長という座から降りたの。それが理解できないかしら?』
それを主張して、そして告げた。実はこれはサッカー部の事件の前にしたことだ。すでに私は生徒会長の跡部ではなく、ただのテニス部部長なだけである。一瞬ざわついたが、きっと頭に血の上っているやつらには言葉の意味は理解できないだろう。
『理解が出来ないのなら、それで構わない。で?貴方達は私に何の用かしら。こんなに大人数が居たんじゃ他の部員の練習の邪魔なんだけれど』
思ったことを口に出すのは悪いとは思わない。ザッと私に向けられたラケット。
「俺は、いや、俺たちはテニス部をやめる!!そして、お前等とは違う、新星テニス部を作る!!いっつもいっつもお前等ばっかり試合に出やがって!」
『それは実力の差よ。嫉まないでくれるかしら?』
「っ!!ともかく!今年、全国に行くのは俺等だ!!」
そして、そう言い放って、50名に及ぶ部員達は去っていった。人間の群れがわざわざ私の横を通りすぎながらコートを出ていく。フェンスの外に出来た人だかりに唇を噛み締めて頭の痛みを耐えた。視界がだんだんと黒と白の反転を増やし、埋めていく。
はやく、はやく、歩かなければと足を動かしたがうまく力が入らなかったらしい
「景!!」
ぐにゃりっと体の力が抜けた倒れそうになった私を支えたのは侑士である。
あぁ、もう、迷惑掛けたくないのに、なにかと侑士は私の側にいることが多くて腹が立つ。
『大丈夫、眩暈がしただけだから』
トップに立つということは、それだけの重みを、知るということだ。
いつまでも甘えている子供じゃない。いつか学園ではなく世界のトップに立たなくてはいけないのだから、こんなことで参ってはいけない。
06.国民の反逆
美しきその世界が、だんだんと汚されていく
再1904
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