04


父の病院に強制送還された私。けれど、父は驚くどころかありがたい説教をくださった。

風邪を笑うものには風邪に泣くといわなかったか!!とつい最近いわれたこと。
はい、言われましたとも、本当につい最近ですね、

とりあえず家に帰って安静にしてなさいと心配され、薬を貰い、マスクをしなおしてからロビーに戻ればうとうとしている精市君がいて、
私は彼の前まで行って体を揺らす。

彼の寝顔にナースステーションのナースさんたちが彼をガン見していることをきっと彼は気が付いていないだろうけれど。彼に風邪を引かれたら私が怒られてしまう。


『起きてください、精市君』
「ん?あっ秘歌理、どうだった?」


優しく名を呼ぶ。
そうすれば、ゆっくりと瞳が開き、私を捉えそして彼はそう私に聞いた。

ニコリッと微笑みつつ『ただの風邪ですよ。』そういえば「取り合えずよかったよ」と笑われた。


「じゃあ、送ってくよ、」
『!? いいですよ。』
「お手をどうぞ、淑女(レディー)?」
『っ!!』


まさか彼にやられるとは思わなかった。
はぁっと思わずため息をつくが『ありがとうございます、貴公子』と私はその手を取る。あぁ、暖かい。


『精市君。』
「ん?」
『ミクスド、立海がTOP3を飾りましょう。』
「無論そのつもりだよ」


他愛もない会話が
とても、ここちよかった


ずっとずっと、この他愛もない関係が。
いつも彼の横にいるのが。みんなとテニスをし、競い合うその瞬間が…ずっと続くものだと。


それはただのまやかしだと私は気が付かないまま




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