07


ギィ


扉を開ける。
この時間に帰ってくることは珍しいし、父さんや母さんはまだ仕事中、弟の聖はまだ部活中だ。

彼は、今立海大の中2だけれど、次期部長としてがんばってる。そう赤也君が言っていましたね、私の弟は私に似ていないと。

それはよく言われます、


でも、それは私の弟ということがトラウマで、彼が嫌がっているからと、私は知っています。
ちょうど、青学の不二周助、そして裕太君のような関係でしょうか…
ですが、今は人がいなくて良かった。



カチッ

玄関の扉に鍵をかけ、靴を脱ぎ、そろえ、二階の自室に上がる。


ガチャ パタン


それから、自室の扉を開け、札を「立ち入り禁止」と書かれたものをかけると私は部屋の中に入った。
ドサリと、いつもの場所に鞄を置く。それから制服から私服へ着替える。

私服、といっても制服と大差ない。ワイシャツにカーティガン、下はジーパン。
誰にも会うことがないのであれば着飾る必要もない。興味もない。



『はぁ…』


ちらり、と見た鏡に映る私、眼鏡を通しても、赤く、純血してしまった目が目立つ。
冷やさないといけない…
けれどその前に、そっと鏡に触れて目を閉じた












『…なんでですか…貴方は…私をうらぎるのですか……ハル…』






小さくもれた本音を、願いを誰も、知るはずない










姫君の悲痛な叫びは

まだ誰の耳にも届かないのです



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