04



 武君が悩んでいたことをずっと知っていた。
それでも、その相談に乗ってあげることはできなくて、武君は沢田綱吉に頼った。


…まさか、その日に腕を壊して…次の日に屋上から飛び降り自殺をしようするなんて、思いもしなかったけど…。


「…心配かけちまって悪かったな。」
『本当だよ。でも、無事で本当に良かった。』


何もしてあげることができなくて、影に隠れて泣いていたらすぐに見つかった。
私は、彼を憧れとして見ているけれど、彼はただのクラスメートのはずだ。

それなのに泣きやむまでそばに居てくれて、やっぱりこの人はすごいと思う。





 それから数日もしない間に、まさかのボンゴレと同盟関係のあるボヴィーノファミリーからランボという幼い子供きて、そのあとまさかフリーの殺し屋であるビアンキまで来るとは心底思わなかったのだ。

きっと私よりも当事者である沢田綱吉はもっと悲惨なことになっているに違いない。しまいにはつい先日まさか「女子の制服かして!!!」と沢田から頭を下げられてドン引きした。とうとう女装でもするのかとおもったら、女の子が川に落ちたらしい。いみわからん。

だが今日は違う!なんと先日交換した連絡アプリに武くんから連絡がきたのだ!
勉強教えてくんね?とそれだけだったがテンション上がった!
と、よび出されたのはまさかの沢田綱吉宅。


「げっ呼んだのってこいつかよ!!」
「えっエマさん!?」


そしてこの反応である。いったい彼はどういう説明の仕方をしたのか。
恐らく、武くんは私がこの二人とちょっとバチバチしたことを知らないのだろう。知っていたら怖い。


『迷惑だったら私は帰るけど、呼ばれたのは武くんだから』
「「武くん!?」」
『なにか?』


そして名前を名前を呼んだだけで驚かれた。なんだその反応はと思わず口に出しそうになったが、軽く流す言葉に変えておく。
この二人、私に失礼じゃないだろうか。


「なんだ?エマたち仲わりぃの?」
『ただのクラスメイトのつもりなんだけど、私が嫌われることしちゃったのかも。』
「っのあま!!」
「お、押さえて獄寺くん!!!」


ちょこんっと武くんの隣にさりげなく座って、それっぽいことを並べればあっさりと釣れる魚がいたものだ。
それを慌てて沢田綱吉が引き留めていたが、本当に彼は苦労性だな、と思う。


『ところで、私になにかようだった?』


そう、とりあえず本題なのだ。
部屋の隅ですぴすぴしている某赤ん坊(本当に寝ているかは確かではない)の目が覚める前にとっとと帰りたい。絡まれたくない。というのが本音である。


「あ、んとな。この問題が解けなくて、エマだったらわかるかなって」
『ちょっと失礼。』


武くんがぴらりとプリントを見せてくれる。
だいたいの問題が埋まっているのだが、といてほしいというのは空欄の問7だろう。
じーっと見ていたら、嫌な予感がして振り返ったのだが、なにもなかった。
なんだ?と思って前を向いたとき、ぷすりと、
ぷ、すり…?




*Side Yamamoto

落第のかかった追試のプリントでどうしても解けない問題があって、もしかしたら別の視点だったらどうだろうなーって思って、ツナたちに「解けそうなやつよんでみっか」と提案した。
そうすれば獄寺は不機嫌になるし、ツナは目を輝かせるしで面白いふたりだなーって思ったんだが、やって来たエマを見て、二人とも驚いていた。

お、知り合いだったんだなーって思ったんだけど、獄寺はなんだかなか悪そうな感じだ。おんなじ髪の色してんのになーって思ってたが、エマは俺の隣に来て平然としてる。

いつもは結い上げてる銀色が今日は下ろされていて新鮮だなーって思ったが、彼女が髪を下ろすのを見たのは二回目。
真剣にプリントを眺めているエマの目がきれいだなーっとか見てたら、突然なにかに驚いたように後ろを見た。
なんだ?って俺も後ろを見たけどなにもなくて、瞬間、俺の方に倒れてきた銀色に慌てて彼女の体を支えた。


「エマ!?」
「え!?」


さらりとエマのきれいな髪が横に流れる、
いったい何が起きたんだ?って思ったら小僧が「エマだってつかれてるんだもん」と小僧が寝言をいった。
あー、そうだよなぁ、疲れてるよなぁ。って思ったよりも細かったエマの体を俺の膝の上に引き上げれば、もぞりと腕のなかで動いてうまく収まった。


「け、使えねぇ女」
「んなこというなって、エマ一人暮らしで女だし、緊張してたのかもしれねぇじゃん、な、ツナ!」
「え、あ、うん。そうかも」


とりあえず、エマを起こさないようにうまく肩に頭をのせてやって、手でプリントもってうんうん唸ることにした。






結局、さらりとといたのは小僧で、すっげぇなって思ったんだが、目が覚めたエマが顔を真っ赤にしてありがとうとごめんねを繰り返してて笑ってしまった。


190110


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