02


 朝から学校中が騒がしく、その根元とも言えるのは3年の教室だったが、もうひとつの根元が自分のクラスだと知れば、見逃せないわけで


『は?パン1で告白された?なにそれ変態じゃん。』


あっさりそのままの言葉をいってしまったのは彼女がある意味素直だからだろう。顔を真っ赤にしてしまった笹川京子にため息をつく。
それがまさかクラスでダメダメのダメ男と言われる沢田綱吉がやった所業だと思えばため息の方がでた。
ダメダメなのは頭も一緒か。いや、成績も悪かったなと頭がいたくなる。

そんな彼がどうして突然そんな気違いに走り出たというのか。なぞではあるのだが、そこからの果たし合いの話になった。
果たし合いなら真剣でか!っと思ったのだがどうやら剣道での対決らしい。なんだと思ってしまった辺り自分も大分影響されているんだと苦笑いしてしまう。

この国で、そんなもの持っていたら違法だ。


「沢田すっげぇなぁ。」
『感心してる場合なの?』
「ははっだってそれしかいえねーし!」


笹川京子のところで話している私に武君が笑う。
いろいろ突っ込みどころはあるが興味があることもまた事実ではある。
入学してから運動もなにもだめな男がどんないきさつがあったのか。





その様相を見て、そっとその場から抜け出したのは身の危険を感じたからだ。いや、自分の見間違いであってほしい。とそう感じながら長い廊下を早足でいっていたのに、いつの間にか走り出していた。

あれは、間違いない


『(ボンゴレの秘弾、死ぬ気弾…?)』


なぜ、あの沢田綱吉が持っている?
いやそもそも、なぜ、この日本にある?

ぐるぐると頭のなかで悪い予感だけが浮かび上がっていく。こわい、こわい、こわい


「とまれ。」


目の前に、黒。
瞬間、きゅっと、上履きが音を立てた。体を反転させて元着た道を戻ろうとして、銃声。

足元に銃弾の掠めた黒いあと。


「なぜお前がいる。エマ・スクアーロ」


動きを止めないわけにはいかなかった。動いたら完全に撃たれる。つっと背中に嫌な汗が流れる。
私は、この赤ん坊が、大嫌いだ。


『なるほど、沢田綱吉が豹変した理由は、あなたか。』
「今質問してるのは俺だ。答えろ。」


リボルバーの回る音が聞こえて、顔だけを後ろに回す。
黒いボルサーノで目元に影を落とす小さな赤ん坊。まっすぐこちらに銃口を向けてくる男は完全にその容姿とはかけ離れた殺気を放っている。


『なんでって、家出?』
「そんな理由か。」
『そうよ。』


だからそのままの言葉を告げたのだ。間違ったことは言っていない。3年にもおよぶ予定の盛大な家出だ。しんっとした場所でピンっとはりつめた空気に世界が凍っているような錯覚になる。


「俺の修行から逃げたかと思ったがそうじゃなかったみてぇで安心したぞ。」


が、その思い空気は彼が銃口をはずすことでほどかれる。
つまっていた息をはき、体の力が抜けて壁に寄りかかりながら崩れ落ちた彼女にリボーンが近寄った。


「にしても、随分普通の学生やってんな」
『私が普通の学生じゃなかったらなんだっての。なめてんの?』
「9代目ファミリーから聞いたときゃちと焦ったがおとなしくしてんなら問題ねぇ。」


"お前も10代目ファミリーの頭に数えてんだからな"



どこが平々凡々だ。波乱の予感しかない。


190110


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