07


 最近、あまりにも周りが裏の世界に染まってきた気がする。私は平凡に生きていたいにも関わらず酷いんじゃないだろうか。

リボーンにはじまりスモーキン・ボム。毒さそりにボヴィーノの子供、しまいにはキャバッローネの跳ね馬。
なんでこうもばたついてくるのか嫌な予感しかしない。と、感じていれば実際に起こってしまうのが世の常というのか。


『一般女生徒追いかけ回すのは校則違反じゃないでしょうか!』
「赤ん坊と関わりがある時点で君は一般じゃないよ」
『解せない!』


人目も気にしないで廊下を駆け抜ける。そこまで足が早いわけでもないし、一般女子よりすこしだけ体力があるぐらいだ。なのになぜ私は一般女子の枠にはいれないのだろうか。げせない。げせなすぎる。
しかも追いかけられている原因がおおよそリボーンだということも腹が立つ。私の人生半分はあの赤ん坊に振り回されている気がする!!


「いいかげん、つかまりなよ」
『っぶな!!!』


ひゅんっと顔面横をなにかが吹っ飛んでいった。なんだと思えばチョーク。いや、あぶないだろ。壁に当たって粉砕されたが正しい使い方をすることをおすすめする!と心のなかで叫ぶが声に出せる勇気は私には微塵もない。
けれど今日の私はさらに運がないらしい。


「ん?エマ!」


前方に、武くん。
こちらに向かって手を降ってくれているのに私今めちゃくちゃ必死なかおしてて絶対かわいくない。心がいたい。見ないでほしい。
でも止まったら、間違いなく怪我するし、好き好んで喧嘩をする女子がいようか。


『武君どいて!!』


声を張り上げた。
きょとんっとした武君の顔がちょっとかわいいなとか思える余裕はなくてどんどん近づいていくその距離に申し訳なくなる。
っていうかまきこみかねなくないかなこれ!って思ってたら案の定「山本武、その女止めて。」ととんでも発言が聞こえた。


「ははっ雲雀と鬼ごっこか?」
『笑い事じゃっ』
「だろうな、っと」


走る私に並走して駆け出した武君が笑う。思わず文句を言おうとしたけどその前に脇に腕が回ってひょいっと軽々持ち上げられた。
俵ではなく、横抱き。突然の浮遊感となれない感覚に悲鳴をあげてしまった。


『っやだ!重い!!』
「重くねぇって!舌かむなよ?」


ぐんっとスピードが上がる。一般女子抱えて走っている早さじゃない。揺れる振動に思わず武君の首に腕を回してしまったのは自分の身を守るためだ。それと、下手に暴れて彼が転ばないため。
心臓がばくばく音を立てて、自分とは違う香りに頭がくらくらしてぎゅっと目をつぶってしまった。






途中で銃弾が聞こえた。気がした。
そんなに時間も開けずに体が感じる風の勢いがなくなって目を開けばどこかの秋教室。みたいだ。


「大丈夫か?」
『え、あ、あ!!ごめ!大丈夫!!!』
「ははっさっきまでおとなしかったのに突然暴れだすのな」


「下ろすから待てよー」なんて言葉に続いて、そのまま床に足がついた。今までで一番近かった距離を再確認すると顔が熱い。


『助けてくれて、グラッジェ。武君』
「ぐら?」
『ありがとうって意味。ごめん、いまちょっとテンパってて』


まともに顔が見れる気がしない。
いつのまに私はこんなに乙女思考になったのだろうか。いや実際武君にだけ、なのだけれど。


「ははっエマまっかになってんのな」
『見ないでもらいたいかな!!そしてさっき必死な形相で走ってたのも忘れてほしい!』
「大丈夫だって可愛いし」
『かわっ』


私の心臓はいつか止まるんじゃないかな。
なんて、おもって手をにぎりしめてしまった


190130


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