異常を知らせたのは鳴り響いた警報のアラーム。
バタバタと音をたてて、モニタールーム兼簡易の会議室に駆け込んできたすすき色に先に到着していた銀色と黒の二人の青年がそれぞれ独特な彼の呼び名を告げれば息を切らせた彼は顔を上げる。
乱れる呼吸のなかネクタイを緩め、締め切っていたシャツの第一ボタンをはずしながらモニターにより、「何事?」と告げた時にはすでに一番上の、まとめ上げるボスの顔になっていた。
それはここ数年で彼が成長した証でもあるだろう。

声をかけたのは、一番モニターの傍できっちりとスーツを着こなした青年ーかつて彼の家庭教師だったアルコバレーノ・リボーンーであり、一方の彼はボルサーノをくいっと下げて「単に誤差動か故障だろうな」とそれだけ告げる。


「っですが、いままで見たことのない反応でしたよ!」
「だが、すぐに消えちまったし、確認する術もねぇだろ」
「獄寺、小僧がいうんだから確かだろ?」


それに一番に食いついたのは銀色ー獄寺隼人ーだった。まるで諦めきれないと、そういう意思を主張するが、否と告げるのはリボーンで、黒ー山本武ーは苦笑いを溢しつつ、落ち着くように告げるのだがその瞳には口には出さないが隠しきれないなにかに対する期待を孕んでいるのをこの場にいる全員が感じ取っただろう。


「そう、だよね」


「あの悪夢の日」からすでに7年が立っていた。
沢田綱吉は正式にマフィア・ボンゴレを継いで、継承したのはすでに5年も前だ。
それは一重にたった一人の片割れを探す手がかりを探すという願いのために。
…とはいっても空振りを繰り返し、あげくには深くほり進めれば掘り進めるほど 、彼女の痕跡は消えていくのに焦りしか生まれない。
仕方がない、なにより彼女は「一般人」のはずだった。
だった、というのは100%関係なかったと言い切れなかったからだ。それはボンゴレの血だけじゃない。


「ツナ、「雪のリング」は?」
「勿論、持ってる。」


リボーンがかける言葉に、首から下げている自らがつける大空のリングよりも一回り小さいそのリングを出せばきらりと彼の拳のなかで光った。
それは彼女が消えてから見つかったボンゴレの秘宝…初代守護者にしかいなかったとされる幻の雪の守護者の証。

それが発見されたのは消息を絶って半年を過ぎた頃だった。適合者のいないリングは代々ボスが守る。そして必ず適合者には居場所を与えるように、と言われているのは初代からの言い伝えだった。らしい。
何故か、という確かな理由ははっきりしていないが、文献を漁ったらしいリボーンは「時が来れば」と告げて以来だった。
なにも言わないのは理由があってとわかっているから、綱吉はそれ以上追求することをしない。


けれど……

手に握っていたリングが仄かに暖かかったなんて、それを無視してはいけないような、でも誰にも言ってはいけないような、そんな感情を抱いたのは彼だけの秘密だった。


ーーー




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