004
『・・・つぅぅ・・・』
体が少し痛くて、それで目が覚めた。
いつもの起きる癖で右目を抑えてから起き上がる
さらさらと黒髪が重力にしたがって流れていったのが視界の端に映った。
『(髪・・・結んでたのに)』
一つ、疑問。何があったのかとぐるぐる、ぐるぐる。
そんなとき、視界に黒、視線を向ければチリン、と一度鈴を鳴らして、その音にひどく、安心した。
【モニカ、目が覚めたか】
『兄さん・・・』
まだ、頭はぼーっとするけれど、ベットに音もなく座った兄さんが私に聞いて、私は彼を呼んだ。ここは…どうやら保健室らしい。
時間はあれからだいぶ経過しているようで、白いカーテンはうっすらオレンジ色になっていた。
『・・・っ桃城君!?』
ゆるりと視線を回せば、隣のベットで眠る彼を見つけて、名を呼んだ。
ベットから総べるように降りて顔色を確認すれば、悪い。
【悪い、少し手遅れだったみたいだ。】
重い空気、その兄さんのたった一言に、固まってしまった。
だって・・・もしも…私が・・・私が居なかったら・・・
『どうしよう・・・・・・っ』
体が震える。恐怖でか、悲しくてか、悔しくてか、震えてしまう。
【大丈夫だよ、モニカ】
そんな私をふわりっと抱きしめて、兄さんが言った。
いないはずのに…暖かい
それは私が見えているから・・・ばけものだから
けれど…考えるなんて、お前らしくないと兄さんが言った。
【モニカ、お前は自分を信じろ】
でも、その言葉に自分が信じれなくなってたんだなって思った
今は・・・どんなに気持ち悪がられても・・・いい。
どんなに軽蔑されてもいい。
彼を…桃城君を… 助けたい・・・
『すぅ…はぁ…』
ポケットから出した塩で三角形の盛塩を作り、ベットを囲むように四辺に置く
それからギュゥッと聖水を握り締め、ふたを開けた
『
私の声を聞きなさい
』
ピンッとその場の空気は張り詰める。
ふわりと風が吹いたような錯覚。
閉じた瞳を開けば、ベットを挟んで向こう側に、小さな、その女の子がいた
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