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久しぶりに本を開いてみた。


『あった、これだ。』


それで見つけたのはそれだ。手先は器用なほうだからできるかとは思うがいかせん道具がない。式に頼むしかないかなぁ、とか思ってたら、ケータイが震えたけれどすぐに止まったからきっとメールだろう。開けば以外な人物からで、思わず苦笑いしてしまった。いや、意外ではないのかもしれない。


『「お前、どうしたんだよ」か、桃君心配しすぎだって…』


確かに桃君には理由を話してあるし、疑問に思うのもしかたない。カチカチとケータイをいじって『病院入院中』とだけ打ち送信。送ってすぐに「は!?え!?おま!!!なんだよ、そういうことはちゃんといえよ、いけねーな!!いけねーよ!!」とかえってきたからびっくりした。やっぱり桃君もケータイ強い勢なのか…

なんて、苦笑いしてしまうけれど『ただ火傷しただけ。』と返信。それから、少し待っていれば「明日見舞い行くわ」とメール。あ、なら丁度いいかも、なんて思ってしまった私は最低だろう。次のメールに病院名と、病室、それからあるもの買ってきてもらえるように送った。

パシってごめんね、でも出かけられないんだもん、てへ。どれだけ効力はあるかわからないけれど、病は気から、じゃないけど。


『(そろそろ7時か。)』


たぶん、幸村さんは今日来た人たちのことでいろいろ考えることはあるだろうし、さっきも話したし、大丈夫だろうなぁ…うん、大丈夫だと信じよう。そっと本のページをなぞる


『悪夢を見る、原因か』


大人よりも子供のほうが悪夢を見る率が高い。でも、生涯付きまとうこともある。
あとは、


『ストレスや、薬、も増やす原因…かぁ…』


テニスができないことが彼にとってのストレスなのか、それとも、ここで受けている治療が彼にとっての原因なのか。悪夢を見るもう一つは、心的外傷後ストレス障害。精神的なトラウマと、強烈な恐怖。

強烈なショックがフラッシュバックする。これは、もしかしたらイップスとおんなじ症状に似ているのかもしれない。私も、イップスほどではないけれど、一時期は自分の目が怖かったから。すこし、失礼だけれど幸村さんのことを調べさせてもらおう。


『(いつ、何が起こるかわからないから。)』


私にできることがあるならば、彼の手助けにしたい。そう、思うのはただの私のエゴかもしれないけれど、でも…


『(言葉は、私の一番の力だから。)』


だから、手遅れになる前にあなたに届けたい、






とぷり…
暗い中で、水の音がする

真っ暗、真っ暗。
目を開けばいろんな景色が流れてくる。

だんだんと明るくなっていけば、転々と落ちているのはテニスボール
それだけじゃない。

トロフィーやラケットも、
たくさんの写真も落ちている。

月間プロテニスと書かれた雑誌や、しまいにはたくさんの花
なんだこれと、いいそうになったけれど、いったところで仕方ないだろう。


おそらくこれは私の夢じゃない…。



歩く、歩く。
道なんて関係ない。

ただ、まっすぐに歩く。



その先にいるのは、



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