002


これは私がまだ中学一年生の時。
まだ、本当の自分の力を理解していなくて人が信じられなかったときの話


『(気持ち悪い・・・)』

朝、いつもどうり登校して、そして体調を崩した。
ただ廊下を歩いているだけなのに、ひそひそと周りで話している女子。
その目線が怖くて、まるで珍しいものを見るかのような視線はひどく気持ちの悪いものなのだ。
あぁ申し遅れました。知っていると思いますが現在1年3組に所属
委員会は図書委員会。部活は帰宅部
あー・・・あと一つだけ、しいていうなら人との付き合いが嫌いです。

カチリっと眼鏡のブリッジを押し上げる、わざと前髪で隠してた右目。

いつもどうり席について、そして机の中に入っている本をひっぱりだして読み始める。
これもいつもどうり。


「はよー、」

なんて思ってたら教室の前の扉が相手元気よく入ってくる一人の男子
彼は桃城武。
テニス部で、明るくて元気
私とは正反対な性格の彼がどれほど羨ましいか。
けれど

「はよー、龍ヶ崎」
『おはようございます、桃城君』

私に普通に話しかけてくれるやさしい人
ハーフレンズの奥の私の瞳は見られないけれど

「もっと気軽に桃ちゃんでいいっつてんだろー、いけねーな、いけねーよ!」

私は結構救われてる。救われては、いたけれど、

『(今日はやたらと視線が多いな・・・)』

周りを取り巻く目が、視線が…人とは違うものがいつもよりも多い気がして、怖かった。
だから、また視線を下に落とすどうかなにもありませんようにと私はただ、祈るだけしかできないから。


*-*-*-*-*


時間がたつにつれて、空気がわずかに重くなった。
今は、見えないけど確かに居るんだ…たくさん

チィリン

ふっと、耳に届いた一つの鈴の音。
嫌な予感がするときは、いっつもそばにいてくれる、大好きな見方。

【モニカ、聞こえるか?】
『(兄さん…)』

さりげなく眼鏡を外して、顔を上げれば、授業中にもかかわらず、いや兄さんは幽霊だから関係ないけど・・・机のまん前で机に両肘をついてこっちを見ている同じ色の髪をしている人。

右側の前髪を書き上げるように右目を覆う右手。
兄さんは心配そうに私を見ていた。

【どうやらお前、気に入られたみたいだ。】
『(何・・・それ)』

兄さんの言った言葉は、この多くの視線と関係あるんだろうか
前回は自殺した男の霊に取り憑かれた。
そのときは兄さんが落ち武者の如く追い払っていたが(怖かった・・)

【今回は、ちと厄介だ。お前が言ったとおり俺は学校じゃ手は出せない。家に帰るまで何とかがんばれ】
『(うん、いつもゴメンね。)』

兄さんは私を助けてくれる。
なんていうか・・・ううん・・・兄さんは私のせいで成仏できない。

私がわがままで臆病だから・・・

だから、心配した兄さんは私のそばに常にいてくれる。
それはお母さんもお父さんもいない私にとってとても嬉しくて、けれど、つらいものだった。

『(大丈夫。教室の中は危ないものはない。)』

教室の中に居る限り、大丈夫


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