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もう二度とテニスは出来ないでしょう
やめろ・・・
かわいそうにね・・・
やめろ・・・っ!
部長!
俺は・・・
__、俺たちは
ねぇ、憎い?
憎 イ よ ネ ?
『っ!!』
誰かの夢を見た。誰の夢かは、わからない。わからないけど、酷く怖い夢。
怖くて苦しくて悲しくて、届かないのに、手を伸ばしてその度に苦しんだ。誰にも分からないような…そんな苦しさの中の葛藤金縛りにあい真っ暗な空間で、ただひたすらにその言葉が周りから言われ続け最後に、聞こえたのは・・・ただ悪気のない一言
それがどれだけ苦しい言葉か…知らないで…
時計を見れば午前3時を少し過ぎたところ。すでに就寝時間は過ぎているけれど・・・彼は・・・幸村さんは大丈夫だろうか?
コンコン・・・
なんて、考えていたら聞こえたノックオン。ビクッと身体を揺らしてしまったけれど、すぐに「龍ヶ崎さん・・・」と弱弱しい声が聞こえて、ベットから飛び降りて、戸を開いた。
瞬間、私の方へ手が伸びてきて、そして、強い力で引き寄せられる。少し苦しいが、彼の腕が震えている。
彼の夢だと、すぐにわかった。そうか・・・この人はおびえているんだ。
『(テニスが出来なくなることに・・・)』
そっと震える背を撫でて、部屋へ招いた。
見られたくないね。こんなの見られたくないよね?
「あら、いつの間に仲良くなったの?」
『まぁ、いろいろと。』
看護師さんの言葉に、思わず苦笑い私が今いるのは幸村さんの病室で、彼は私の手を握ったまま扉に背を向けて眠っているのだから。まぁ、仕方ないの…だろうか。
ちなみに幸村さんの病室は真横でびっくりしたのは昨日の帰り道でした。そんでもって昨日の夜からこっちにいます。式に身代わり頼みました、ごめんよ。
『幸村さんに何かありましたらお伝えしておきますよ。』
でも、彼の評判はいい。さっき子供たちも遊びに来てたし…立海のテニス部のことも、今度桃君に聞いてみようと思う。そういえば桃君に入院してるっていってないや、ごめんごめん。でも絶対に来そうなんだもん。心配かけたくないし。
「ふふ、じゃあ龍ヶ崎さんのお昼はこちらに持ってきましょうか、幸村君もそのほうがいいでしょうしね、」
『すいません、よろしくお願いします』
看護士さんはいい笑顔で去っていく。なんだか勘違いされてる気もするが…まぁ、いいかな、直すのもめんどくさいし…
萩には連絡したから知ってるだろうけど…メールは…したほうがいいのかな…放置しても怒られはしないだろうけど…
「…モニカさん…?」
『あぁ、おはようございます』
なんて考えていたら寝起きどくどくなかすれた声で名が呼ばれたて微笑んで彼を見れば、寝起きだからかうつろな瞳が私を映す
「あぁ、モニカさんの手はあったかいね…」
『子供体温ですから』
「でも、昨日は冷たかった…」
『日中は血圧低いんです。』
それからそれらの言葉に、くすっとわらってゆるりと握られた手を握り返した。
*-*Marui Side*-*
「は?」
思わず変な声を出してしまった。でも、しかたないだろぃ?
赤点とって追試をしてる赤也を置いて幸村君の見舞いに来れば、幸村君の病室の隣…まぁ、そこも個室なんだけどよぃ…そこの名札が
「龍ヶ崎モニカ…?」
仲がいい、助けてもらった友人の名があって…思いっきりその病室を開けてしまった。ジャッカルが驚いたように叫んだけど、関係ない。この病室…一瞬嫌な予感がしたんだ
『丸井さん?』
そう、考えてたのが馬鹿みたいだった。俺の名前を呼ぶその声に振り返る。そこには、幸村君と、不思議そうな顔をしたモニカの姿があって…でも、格好はパジャマにカーディガン…手首には包帯が巻いてある
「なんだ、今日は早かったんだね、みんな」
でも、反対に幸村君はにこにこしていて、それにいつもより顔色も良かった。やっぱり知らないやつは気になるんだろうな
「幸村、その横の人はだれだ」
幸村君の横に女なんていたら、さ、
俺の後ろからその言葉を言ったのは柳で、幸村君はにこりとわらって「彼女はお隣の患者さんだよ、今ブン太が開けてる病室のね」なんて言った。それからそういわれて、あわてて病室の戸を閉めるけど、ちょっと安心した。確かにモニカが隣にいるんなら幸村君、大丈夫だろうな、幽霊関係は…俺も助けてもらったし…モニカの言葉は温かいから
なんて言うか、ホッとするし、安心できるんだよなぁ…
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