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「俺、こういうの初めてじゃなくてさ・・・そのたび、ジャッカルに助けてもらってんだよぃ・・・」


しんっとした空間。一番最初にその空気を破ったのは彼だった。

町外れの神社。どうしてか来たことがあるのは、きっと、小さい頃だろう・・・。私の小さい頃の記憶はとても曖昧だから・・・どうともいえないけれど・・・

シンッと静まり返っているこの場所では、呟くように言った丸井さんの言葉は自然に広がり、誰も口を開かない。


「・・・俺は、こっちに越してきたあたりから変なものが見えるようになってよ・・・。立海大の近くにある神社に言ったら、力があるだけじゃ狙われるだけだって言われてな、身を守る分は教えてもらった。」


次に、口を開いたのは桑原さんで、手首につけている数珠をみて、目を細める。
数珠の色は、蒼と、緑を足して割ったような色をしている。私は見たことある。

それは…


『(引き寄せなくするもの・・・)』


きっと、その人も桑原さんの属性を見抜いていたんだろう。たぶん、私も知っている…むしろよく知っている人間なんだとは、思う。一度息をすって、『桑原さん、自分の特性はなにって言われましたか?』と、聞いた。
そうすれば、意味のわからない桑原さん以外はきょとんとしていたけれど、私はじっと、桑原さんを見る。空気が重いが、スルーしておこう。


『・・・自然結界。そういわれませんでした?』
「!」


青学にいる不二さん。彼もそんなに強くないけれど・・・素質はある。
でも、それに比べて桑原さんは違う。素質、というよりもきっとなにかしらあるんだろうが、彼の力は不安定じゃない。

多分あの数珠はそれを引き出してる・・。


『(おば様なら・・やりそうだ・・・)』


私の言葉にぎょっと目を見開いた桑原さん。意味がわからないのかキョトンッとしている丸井さん。話の内容をなんとなく理解した忍足さんと芥川さんは納得してた。



『私、その人の孫なんです』
「はぁ!?あの巫女さんのか?!」
『み、巫女さんってほど・・若いですか?あの人・・・』


ニコリと笑って言えば、驚いたように桑原さんは言った。・・・いや、うん、多分巫女さんっていうよりも・・・神主(カンヌシ)っていう感じだとは思うのだけれど…桑原さん、外人さんだし、ちょっと感覚が違うのかな、なんて思ったけれど…まぁ、それはおいておこう今おば様の話題ではない。断じてない。


『まぁ・・それは置いておきましょう。さっきの・・・殺しに行くというメール。あれは数年前に、一度はやった・・・といっては言葉が変ですが流行したメールなんです。通称を、死神メールといいます。』



とにかく今はこの二人にちゃんと説明して、安全に家に帰すことが先決だ。
「死神メール?」と、首を傾げた芥川さんに対し。「3通目のメールが来る前に返信できへんと不幸にあうっていうやつか?」と、忍足さんは言葉を発した。
彼らはさっきいなかったから、まぁ、そうだろう。
とりあえず、忍足さんが言っていることは間違いではないから『それです』とうなずいてから、一度息を吐く。


『正確には・・・命を死神に持っていかれるんですがね。』


それから私がさらっとそういえば、さっと丸井サンは顔を真っ青にする。
無論、それは桑原さんもだ・・・



「ッつ・・・ことは・・俺・・・」
『何もしていなかったら、死んでいたか神隠しにでもあったでしょうね。』
「じゃっかる・・・っ」
「大丈夫だって、もう来てねぇだろ?」


きっと、この二人は仲がいいんだろうなぁ、
とか、変なところ考えてしまっているけれど、とりあえずこれからを考えなくちゃならない。
桑原さんの自然結界も、そばにいなければあまり効果はないだろう。でも、効果すらないかもしれない。なんたって相手は、死をつかさどる神さまだ。

何もないよか・・・ましだけれど・・悪質ないたずらなら・・・本当にいいのに・・・
どうしてか・・・「死神」というワードが気になって、仕方がない・・・。

でも、大丈夫だとは、思うのだけれど…なぁ…なんて、ばれないようにため息をついた

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