031
紙人形を追いかけて、学校を飛び出した私たち。その時に跡部さんのところに萩についていったんだけど、(もちろん、忍足さんはおいて)あの人は霊感なさそうだなぁとか、思ってしまった。
いや、どっちかというと人間の心理は見ぬきそうだなぁとか思う。
だから萩は私に一度も視線を向けなかったし…っていうのは、少し前だ。
さっきも言った通りもうすでに氷帝をでている。萩は一度家に連絡して早退にしてもらったようだ。
「そや、さっき滝は何したん?」
最初に口を開いたのは忍足さんだった。普通の人ならば疑問に思うことで、当たり前のことだろう。私だって初めて見た時にはそんなことができるんだってすごい驚いた。
「霊魂の形は人それぞれ違うからね。 俺は術で霊を払うのは苦手だけど、術で物を探しすのは得意なんだ。」
さすが二人とも体力あるな、なんて思いながら飛んでいる私は楽をしているが、それでも笑顔で萩は忍足さんにそう言っていた。本当に、すごいなぁ。
「まぁ、俺達は仕事柄にこんなことをしてて当たり前だけど、祓い屋だけど、モニカのような祓い屋ではないからね。」
「どういう意味や?」
「今回の件、俺は手を出せないよ。出せるけど、俺は「退治」しか出来ないから。」
走りながら会話するとか凄すぎるね。私には絶対に出来ない。体力、元々ないからな。
なんておもいながら、二人を見る。
意味の分からない、というように忍足さんは眉を寄せた。だけど、自分の表情がころころ変わるのって見てて、変な感じだとおもう。二人の走るスピードは、速いけれど私は二人の背をみて飛んでいた。
おかしいことが多すぎる。忍足さんと私に接点はない。些細な接点…といえば、氷帝学園のテニス部に私が少し立ち寄ったぐらい。では、それ以外は・・・?
「モニカ、近いよ」
『うん。』
考え事をしていたらいつの間にか目的地・・・否、彼の本体のある場所、らしい。
けれど、それは驚かないとは言えない場所だった。
「・・なんやねん・・・ここ・・・」
そこは、東京の街にあるのかどうかすら分からないほど、古びた洋館だった。それこそ、幽霊屋敷といわれそうな場所。
「忍足、ここに心当たりは?」
「あるわけ・・ないやん。ちゅーか、俺、ここらへん来た事ないで?」
萩と忍足さんに耳を傾けつつ、周りを見回す。私は、ここに見覚えがある。そうだ、ここは・・・
『(兄さんと・・・再会した場所・・)』
この・・・屋敷の前・・・なった鈴の音とともに・・兄さんと出会ったんだ・・・こんな偶然があっていいのか…いや…これは偶然というのだろうか…。
「モニカ、どうかした?」
『うん?なんでもないよ?』
「そう、なにかあったらすぐに言いなよ。モニカだって、その状態でずっと居るのは危険なんだから」
『分かってるよ。安心して、萩。』
私の行動が不思議だったのか、萩が私にそういう。確かにそうだ。今の私は肉体を持たない霊体。少しの悪意や、何かに引き寄せられ、影響されれば私だって何がおこるか分からない。些細なことでさえ、気にかけなくてはいけない。
「で、どないするんや、中入るんか?」
「入りたいけど・・・モニカが・・・」
『大丈夫・・・といいたいところだけれど信用ないよね?』
「そうだ、ねモニカ絶対に俺から離れちゃいけないよ」
『うん』
こんなときは、まぁ萩に頼るしかない。たしかに、今の私は役立たずだしね。
やれたとしても少ししかできないだろう。こんなとき、兄さんが居たらな・・・
なんて、
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