022




小さい頃
仲のいい、
姉のような、妹のような、奴が居た。
いつも一緒で、よく遊んでた

でも、俺はバカだから。
酷いことしかいえなかった。





サァ・・・


静かな雨音。

誰いない教室にはたとえそんな小さな音であろうと響いていた。
一人、赤い字だらけのプリントから視線をそらし、窓を見る。

霧のような、雨

あの日と同じような雨に、まるで、俺をとがめるようにズクズクと、肩にある古傷が痛んだ。



「・・・っクソ」



今でも思い出せる。
あの日のことを。

雨の中、俺を守ろうと、逃がそうと走って走って血まみれになって


でも、俺が言ったのは



「っくるな、化け物!!




血だらけで、ボロボロで、ビショビショで
その頃には霧雨だった雨は土砂降りになってた
小さい俺と、小さい彼女。

子供の頃の俺は



「お前なんか大嫌いだ!!」



あいつを傷つけた
そして、あの日、あそこに、彼女を一人取り残して、走った。

あの日以来彼女に会っていない。

小学校はいっしょ、クラスも、係りもいっしょ。

でも、彼女を見ることはなかった。



俺は知ってた
雨でも分かるほど、モニカは泣いていた。

ごめん、ごめん、

何度謝って、もう遅い。
モニカは俺の隣に居ないから。


カタン・・・。


持っていたシャーペンを置いた、
本当に、あの日と同じようにだんだんと強くなる雨。

この調子じゃ今日の部活は中止だろうな、なんて思った
赤い文字だらけのその紙が、どうしてか無性に恐くて、二つ折りにして、ラケットバックの中に突っ込んだ。



グシャリ、



紙が音をたてる。
でも、俺は無視して鞄の奥の奥に突っ込んだ。



「あ、まだ教室に居たのかよ。」



そんな俺の元に、俺と同じ部活の奴がやってくる。
マジでただの友達、俺がレギュラーなのに対し、こいつは準レギュ。
いや、まぁ、俺がレギュラーって言うこと自体が奇跡に近い気がするけどよ・・・



「何でだよ。」

「帰ったかと思ったぜ、先輩怒ってんぞ?」

「・・・マジかよ・・・」



つぅっと嫌な予感がした
それはだんだんと大きくなる。
鞄を背負い、急いで教室から出た。



歩く、歩く
嫌な予感が的中しませんように。

何て、な




「・・・ぶ・・・ちょ・・・」

「やぁ、遅かったね、何してたんだい?」




予感的中だ。
目の前には我らが偉大なる部長。

でも、なんで・・だ


嫌な予感が・・・



やまない














誰も居ない教室に、「誰か」いたなんて・・・


俺は知るよしもなかった



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