04

「コムイはどこさぁぁああああ!!!!!」


絶叫。
それに近い声が教団の科学室に響き渡れば、万年睡眠不足の科学班メンバーが飛び起きた。

蹴破られた扉。
ラビの目に映った金髪の、化学班をし切り、そして今求めている人間の片腕の男の姿を捉えれば、標的は彼になる。


「リーバー!!コムイはどこさ!!!!」
「どうしたんだラビ?」
「ってか、そいつエクソ…っ    エミ!?」


ガツガツと近づいていく彼に、同じように歩みを進めたリーバーだったが、その腕に抱かれた少女を見て、驚きの声を上げる。
最後に別れてからすでに3年。数日は彼女についていた探索班が彼女の同行や戦いを報告していた。
しかしそれも途絶え、彼女自身からの連絡はおろか、あの地帯に誰も近づけなくなり、もうダメだと、そう思っていたその矢先、目の前にその彼女がいる。


「今までずっと戦ってたんさ!!とにかく医療班とコムイをよんでくれ!!!」
「わかった!!すぐにつれてくる。」


状況を理解したリーバーの行動は、早い。通信ゴーレムに支持を飛ばしながら科学室を出ていった。
ひと段落、と、いえばいいのか。がくりと力が抜けてその場に崩れ落ちてしまった。
あぁ、なさけない。が…彼女の体が少しでも楽になるように体に寄りかからせれば、周りの連中がバタバタと医療班がすぐに来やすいように散らばった書類とかを片付けていた。

間もなく、「ラビ君!!」と俺と同じように化学班の扉を勢いよく開きながらコムイが駆けこんでくる。その後ろには医療班もいて、その先頭には婦長がいた。

真っ先に俺のところに駆け寄ってきた婦長は、俺の腕の中にいる彼女の姿を見て、くしゃりと表情をくずしていたが、「すぐに運びます!担架!」と声を張り上げた。

すぐ近くに来た担架に、彼女の体を横たわらせれば、自然と自分の服が目にはいる。
今思えば俺の体はエミの血で血だらけだ.

すぐに運ばれていった彼女にはしばらくは会えないだろう。
そもそも俺の怒りは別のところにある。


「一体今まで女の子にどんな任務させてたんさんさ!!!」


怒鳴れば、コムイだけでなくリーバーの表情さえ暗くなった。俺は、彼女とこいつらとの接点がどれだけあるのか、紙の上でしかしらない。

それでも…


「…どれだけののしってくれても構わないよ。それだけのことを、僕は彼女に決断させたことに変わりはないから。」


いつも見るコムイの顔ではなく。
そこにいたのは、上の立場の人間だった。


「…ラビ君。神田君にこのことを伝えてもらっていいかな。」
「…ユウ?」
「うん。彼が、彼女の帰りを一番待っていたから。」




***Side Yu

ユウへ

ユウと喧嘩したままで行くのは申し訳ないと思ったんだけど、
今日から長期の任務につくの。

ユウは私の弟で特別だから、ちゃんと言えたらよかった。

それから、一言謝りたかったの…嘘をついてごめんなさい.
でも勘違いしないで?私は死ぬのが怖くてユウのこと死なないかって心配してるわけじゃない。ユウはいっつも任務で簡単に怪我をするでしょう?

確かに、ユウは普通の人よりも傷が治るの早いかもしれない…

でも、それと一緒に代償にしているものもあるでしょう?


それを、私は知っているから。
だからユウを絶対に一人にはしないって、そう勝手に思っていたのに、破っちゃいそう。

勝手にしたのにね。そしたら笑って?裏切り者って、笑って、忘れて。


よろしくね。
それからみんなを、支えてあげてね。

コムイさんは立場上苦しむから、気にするなって言ってほしい.
リナちゃんには泣かないでって
デイシャとマリには元帥をよろしくって
もちろん,ユウも元帥と…お父さんとちゃんと仲良くしてね!!

あっそれとリーバーさんにはお仕事手伝いできなくてごめんって言って?


なんかユウに私頼みごとしてばっか…ごめんね。



…最後にユウ.
私はユウのこと、大好きで愛しているよ。

でもユウは他に大切な人がいることを、知っているよ。

だから忘れてね

じゃあねバイバイ
大好きよ。神田 ユウ


エミより




あぁ、アルマの時と一緒か。
大切なものに限って俺は手を離して、後悔ばかりが残ってしかたがない。

もう思い出すこともできなくなった、あいつの声。
いつも口うるさく言っていたが、おそらくあいつは俺の「生い立ち」を知っていたんだろう。
ひらりと、蓮の花びらが一枚、散った。


しばらく、ぼうっとしていた。
何も考えたくなかった。
のに、あわただしくなり、兎が俺を呼びに来たかと思えば連れ出されたのは、医務室。
なんだと、そう思ったが。



ビニールのカーテンで仕切られて入れないようになってる一つのベッド。
リナリーがそのビニールのカーテンの前で泣き崩れていた。

見えるのは、白。唖然としてしまったのは、仕方がないだろう。

知っている、知っているはずなのに、あまりにも様変わりしていた。
一番変わったのは髪の色。
俺と同じだった黒い髪は今は雪のような色になっていた。瞳も…変わってしまったのだろうか?



Meet Agein


あぁ、お前が帰ってきただけでも、それだけでもあのころとは違うのに、
その眼が開かない。俺を映さない。

いうだけいって、お前はそうして口を閉ざしたまま、眠っているのか。


20191012




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