02

***Side YU

アイツが任務に出てもうすぐ3年の月日がたつ。
そのあいだ、何度も任務には出たがあいつの姿を見ることはなかったし、教団の中であいつの存在を知っている人間も少なくなった。
あの喧嘩を最後に相変わらず連絡はないが…エミがいなくなってからずっと心残りがずっと巣食っている。

あいつが俺に書いた手紙は開けてない。開いたら、あいつが二度と帰ってこないような、そんな恐ろしさがあった。






あぁ、だが、運命ってのはひどく残酷なもんなんだな。


日課の朝の鍛錬を終えた俺は食堂へ・・・が周りはいつもよりも騒がしい。
また誰かが殉死したんだろう。
だいたい、そういう時この場所がそういう慰めの場になっているのが腹ただしいが、その中心にいたのはよく知った顔だった。


「何泣いてんだ。」


まわりがざわつく。
涙を流すリナは絶対にこういう場では泣かない。だからこそ、その傍らに婦長がいるんだろう。

俺の言葉に顔を上げたリナの瞳から再び涙がこぼれおちる。


「っかん、だ…っ!!!」
「あ?っおい、どうした?」


ぶわりと、俺の姿を捉えて涙があふれ出す。
どっからそんな出てくるんだってぐらいの量に、焦る。


「エミが…エミが…!!!!」


随分と、聞いていなかった名前だった。
ザワリとした空気。それは、あいつの名前を知っている人間の動揺だった。それは、俺もかもしれない。


「…リナ、」
「っく、ひぐ、う、エミ、エミ…っ!!!」


あぁ、そうかと。
心の中の冷めた部分が、すべてをいやでも理解した。

俺はそう言うところ残酷で、この心の部分がアルマを殺した部分なんだろう。
そして、今度はあいつを殺す。

人ごみをかき分けて、食堂を出た。
思ったより荒々しい足音になったが、俺が随分といらついているんだろうとそう思っているんだろう。自然と通りすぎる人間たちが道を開く。
随分と俺は怖い顔をしているのか。それとも、否か。


あぁ、だが


「…おまえ、ふざけんなよ…っ」


ふざけんな。

20191012




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