03

『それじゃあ、行ってきます! ユウやリナちゃんたちによろしくお願いします』


薄暗い船着き場。
少ない荷物を持ってタンッと船に乗ればギシッと船がきしんだ。わずかに揺れたけれど、これぐらいならば問題はない。
振り返って見送りに来てくれたリーバー班長やコムイさんにそう告げれば彼らはひどく複雑そうな表情をしていたから、苦笑いがこぼれてしまう。


『そんな暗い顔しないでください!行き辛いですよ』


ぽんッ
なんて、いえば頭に置かれたリーバーさんの手に『なんですか?リーバーさん』と首をかしげてしまった。
酷く温かい手だ。あのヒトと同じ温かい手。


「…ちゃんと帰ってこいよ」
『うん!ちゃんとただいまって言うよ!』

私の言葉からかギシっと再び痛んだ音がして船が進みだした.
自然とリーバーさんの手が離れていく。

『行ってきます!!!! 絶対に帰りますから!!!!』





器だけでも。なんていったらきっと彼らは怒るだろうか。







*-*Komui Side*-*

「…リーバー君…」
「なんスか?室長」

エミちゃんが出発した。
一番不安なはずなのに、満面の笑みで僕たちに「いってきます」と手を振って。
遠い異国…たった一人で…これから彼女は戦いに行く。

「これで…よかったのかな…」
「…エミの意見を通せたんです…アイツはっ」

リーバー君はそこまで言うと表情をゆがめた.
   ・・
本当は二人のはずだったこの任務.
でもエミちゃんがその人を、守りたいと言い張った。彼女は、教団の中で1.2位を争う実力者。あんな挑発的に「たかがAKUMAにこのエミが負けるわけないでしょ?」と大元帥に言いきったあの子が負けるはずがない…
元帥に劣らぬ力を持っているとはわかっている。

それでも…

「エミちゃん…っごめんね」

君は最後まで笑っていた。僕達は憎むべき相手なのに
笑って「いってきます」と明るく当たり前に言った。彼女の帰る場所はココなんだ.

僕らは彼女がかえってくるまでココを守る

僕らは戦えないだからこそ君の場所(ホーム)はかならず




Promis




《必ず守るから》
(そう呟いた声は反響した)


***




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