ななひきめ 2 / 3
ななのに


***Bunta Side***


「まじ、雨ん中練習とかいじめだろぃ・・・」
「ブンちゃん見てみんしゃい、わかめが潤ってるなり。」
「っちょ、やめてくんないっすか仁王先輩!!」


 雨降ってんのに普通に部活やった。
もうみんなびちゃびちゃ。幸村君は今日病院、真田は代表委員会。・・・で外に居る組みの俺らの状況

柳→日本人形みたいになってる。
仁王→ガチストレート、ぜってぇあのしっぽ絞れるだろぃ
柳生→七三わけがただの真ん中分けになってるよぃ
ジャッカル→いつもとかわんねぇな・・・
赤也→わかめが増殖中だよぃ
俺は、自分見てねぇからわかんねぇ!でもガム膨らませられねぇなって。


「? ブンちゃん、あれ氷帝の制服じゃなか?」


なんて思ってたら仁王に言われた。は?何で氷帝・・・って校門に視線を向ける。そこにはこの曇天には映えるオレンジ色の傘。


「は、ゆめ!?」
「えっちょ、丸井先輩?!」


ここに居るはずのない、大好きな奴の姿。
俺の足は自然と走り出して、赤也が俺を呼んだけどちょっとそれどころじゃない。
大切なやつが来たんなら、迎えんのが普通だろぃ?







ブン太の声が聞こえた、えっ、と思って顔を上げれば走ってくる赤。
彼の色がぐんぐん近寄ってきて、すぐに目の前。


「なんで居るんだよぃ。連絡しておいてくれればよかっただろ!」
『えっあ・・・ごめんなさE・・・電源、落ちちゃったんだ・・・』


そして私の肩に手を置いてそう言った。ジンワリとだんだん制服が濡れてくる。
それにはっとした。ブン太の手、すごく冷たい。


『っブン太、ビショビショ、風邪ひEちゃうっ』


いまさら、って思うだろうケドオレンジ色の傘をブン太の頭上へ。それに驚いたブン太だったけど「お前がぬれるだろぃ!」って言って押し返してきた。


『でもっ』
「部室行くぞ、今日部長も副部長もいねぇし。ゆめ、ちゃんと飯食ってる?それにここまで歩いてきたんだろぃ?手つめてぇし、女子は体冷やすなっての」


それから、傘はそのまま引っ張られる。私は傘のなかに入ったままだ。
ブン太はもう完全に濡れてるから、気にしないって。




「へぇ、じゃあ芥川先輩ってやっぱり氷帝のレギュラー」
『うん、そうだよ。テニス、大好きだけど女子テニだと皆手加減してくれるんだ。』


さすがに雨が強くなってきたから、部活は中止になった、らしい。
びしょびしょのまま部室のなかに入ってきた彼らをみてテニスバックからいつも入れてるドライヤーで目の前の髪の毛を乾かす。理由はこの子が一番濡れてて悲惨だったから。ブン太はちょっとムスっとしてるし、後ろに居る銀色の人はうずうずしてる。逆光眼鏡の人は逆にその人を抑えていて、糸目の人は何かノートに書いてる

一応名前は全員知ってるよ?私も一応レギュラーだからね。でも、なんとなく?
カチッとスイッチを切って・・・切原君の肩をポンッと叩く、


『できたよ』
「わっ早、 あざーっす!」


それからそういえば満面の笑みでそう言ってくれた。いいなぁ、こういうの
氷帝じゃぁ雨降ったらみんなすぐに帰っちゃうからこんなことぜぇったいにしないC・・・


「次、俺な」
「あっブンちゃんずるいなり!」


なんて思ってたらトンッと目の前に出る赤。それに、銀色の。仁王君がわって声をあげたけど、にっと笑って『次にやるっ、できれば髪の毛ちゃんとタオルで水分とってほCーな』って言ったら「ピヨッ」っていってタオル片手にぽんぽんって、自分の髪おさえ始めた。


さすがに柳くんと柳生くんは自分達でやるといって私がやることはなかったけど、でもやっぱり髪の毛濡れたままだと風邪引いちゃうからね。
ちゃんと乾かしてくれたからよかったーって思うC。




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