07

甲板に乗り込んできたのは間違いなくオラクル騎士団だ。けれどこれは私の部下ではない。
ということは


『(モースか…それとも…総長か…)』


モースは仮に「イオン」の奪還だとする。では総長は?


『(データ…か?それとも…)』


何人も降り立ってくる騎士団の連中に舌打をする。
データはほしいが、ルークを人と戦わせたくないというのは私のわがまま。
どんどん船に乗り込んでくる騎士団に服の袖から時限爆弾の譜業を投げつける。
多少揺れるが破壊するまではない。
せいぜい、ヒトが飛ぶくらいだ。

身元がすぐばれるだろう六神将の羽織は脱いでその場に捨てて、駆けだした。体術はむしろ得意じゃないが、譜業の力があれば問題はない。

ともかく、乗りこんでくる媒体をつぶさねばいけない。そうは考えていたのだがいかせん、敵が多いのだ。
ジェイドのように譜術が得意なのであれば問題はないのだろうが、私が頼れるのは譜業だけだ。


「なっなんだこれ!!」
「先生!?」


背後で声がする。
両方とも聞き覚えのある声だが、今はありがたい。


『っルーク、実習授業です。敵を、「船から落としなさい」!』


彼に殺せとは命令しない。船から落とすのであれば確実に命を摘み取る行為ではないのだから彼もやりやすいだろう。
私の言葉に一瞬固まったらしいが「はい!」っと明るい声と共に、赤髪が私の横をすり抜けていく。その手に握られている武器が峰を向いている。


「はわわ!ディアナ!?」
『アニス!あなたもいたのですね。ちょうどいい、敵艦をおとすのを手伝ってください!』
「えー!ちょっとアニスちゃん状況理解できないんだけどぉ!」
『敵艦を退けていただけたらそれなりのギャラjは支払いますよ』
「おっけー!やろー!てめー!ぶっころーーーーす!!!」


これまた聞き覚えのある声。彼女を釣るにはそれが一番だ。トクナガを巨大化して向こう側の船に飛び移っていった。となれば、


「アンタ、戦えたのか。」
『いえ、まったく。ですから背後は任せました。』


一定の距離があるが駆け寄ってきたガイにそういって、構えはシンクがとっているものに近い…が攻撃力はほぼ皆無。だが、下手に後衛に下がれば彼に近づいてしまう。それは、できれば避けたい。
…とは思っていたのだが、目の前に勢いよく槍が飛んでくる。あまりにも近距離にタンッと後方にたたらを踏んでしまったのが運の月。
瞬間、足元から勢いよく食らったのは、おそらくスプラッシュ。


「サラ、後衛に下がりなさい。」
『…っ動けなくしないでいただけますか』


ばちばちっと、足元でいやな火花が散った。完全に稼働を停止してしまえば、動けないのだ。
ぐらついた体はそのまま彼に受け止められた。

あぁ、彼が水の譜術を使うことと、防水機能をつけるのを忘れてしまった。



20190608



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