03

突然始まった旅は良いことも悪いこともいっぱいあった。
先生が話してくれたその世界は、俺が思っていた以上にたくさんのことにあふれていて学ぶことは多い。それと同時にひどく自分がちっぽけな存在に思えて不安でしかたがなかった。

初めてバチカル以外で買い物した。魔物と戦った。ヒトを殺した。

先生が知ったら俺を軽蔑するだろうか。人を殺すことはいいことではない。わかってるけれどそれでも代わり映えのしないあの日常から考えればずっと生きてると感じられる。

何より今回俺が旅をする原因になったティアという女は、第七音素を使いこなしていると聞いて、もしかしたら先生の足も治せるんじゃないかってそう思ったら早くバチカルに戻って先生に会いたいとそう思った。
なのに、俺たちの行く手を阻むのもまた先生と同じオラクル兵たちだと思うと複雑な気持ちになる。


「タルタロスから1番近い町はこのセントビナーだからな。休息に立ち寄ると思ったんだろ」
「おやガイはキムラスカ人の割にマルクトに土地勘があるようですね」
「ルークの家庭教師さんはマルクト人で世界地図やら何やら色々とルークと俺に教えてくれたからな」


ガイとジェイドが話してるの聞いてればちらっと先生の話なっていた。確かに先生はよくマルクトとキムラスカの話をしてくれた。それぞれの国の利点改善、その話をするたびにさみしそうに『私の幼馴染は戦争に参加する立場なんですよ本当にバカらしい』とそうこぼしていた。

マルクトにいる先生の幼馴染がどんな人か俺はよく知らない。知りたいし聞きたいとも思う。でも先生がいやがることはしたくない。だから、聞けずにいたんだけど


「なんか、先生とジェイドって似てるよな。」
「はい?」
「兄さんと大佐が?」
「ちっげぇよ。師匠じゃなくて先生のほう。」


頭がいいとこだったり、落ち着いてたり、仕草だったりいろいろにてるんだよな。そう思ってガイに視線を向ければ「確かににてるところあるよな」って納得してくれた。うん。だよなぁ。


「…ふむ、ちなみにあなたの先生というのは」
「ディアナ先生。」
「ディアナ?」
「死神ディアナ!?嘘でしょうルーク」


ジェイドの言葉に答えれば一番驚いたのはティアだった。「ティア、見つかりますよ。」と彼女をとめた。その失態に「すいません。」とすぐに謝る。なら少し遠巻きの落ち着けばいいのに。


「死神、がなにかはわかんねぇけど、先生は優しいよ。足が使えなくて不便だって言うのにやなこと一個も言わねぇし、俺がわからないことを理解してくれようとする。」
「そのヒトは歩くことができないのですか?」
「いっつも車椅子っていうのに乗ってんぜ?」


そこまで言ってジェイドが黙った。なんだ?と思って顔を覗き込もうとしたが、その前に馬車の音。全員で息を潜めて様子をうかがう。エンゲーブから来たと言うその馬車はこのあともう一台来るらしい。


「…なぁ、その馬車にのせてもらえたりしねぇかな。エンゲーブだったらジェイドの顔みんなしってんだろ?」
「そうですね。それが得策かもしれません。移動しましょう。」


ヒトと戦いたくない。だからその道を選んだがジェイドから少し震えた驚いたようにみられた。


20190517



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