壊すものの誕生



男は「クロス・マリアン」と名乗った。

炎よりは落ち着いた赤い髪に、右目には十字架の描かれた仮面。
黒いコートに、金色の刺繍とそこにも十字架、

パッと見は、今日かいにいる神父様のようないでたちだった。



じっと彼は周りを見渡すと私を見て笑ったのだ。
何かは、知らないけれど、彼は私を見て笑った。
それが酷く嫌で…

しばらく滞在する。といった彼が本当に嫌で、

私はなるべく彼に会わないように外か部屋閉じ篭るようになった。


いつまで滞在するのだろうと、そう考え始めてからすこしたったある日、
初めて彼と一対一で対峙してしまった。



「随分と俺のことを避けているみたいだな」



彼の第一声目はそれだった。
やっぱりバレていたのかと思う。

彼と目を合わせないようにしたを向いた。

そうすれば小さく笑われ、軽く頭を撫でられる。



「またな」



それからたった1言そう言われて彼は私の横を通り過ぎた。
なにがしたかったのか、私には到底理解できない。

けれど、それでよかったなと思う


それからいつものように、孤児院を抜け出して走った。

どうして今日に限って、






『あ、』



たまに来る不思議な耳鳴り。
手を当てて周りを見回せば近くの小さな森に1つの人影

嫌な予感がした。

あとを追っていく…
そうすればなぜかその人影は広場のような場所に出た。

なに……?



まだ、耳鳴りがする。



これには意味があるのか私にはわからないけれど…。



でも、だ、



『っ!!!』


頭が割れるような大きな悲鳴のような、大きな、音、が
たとえるなら、チェーンソーを耳元でならされているような、そんなひどい音が頭の中を駆け巡った。

思わず両耳をふさいで地面に崩れ落ちる。

なに、なに、これ…っ





「オ、なか、スいタ…」

『っ!!!』



だから気が付かなかった、
目の前に、人影、
目はうつろで、ぼうぅっとしてて、私は、知ってる。





「これ」を、知ってる。





そう思った時には遅かった、
額に当てられた冷たい、何か。

あのひと、おなじ。





あぁ、死にたくない




そう思った時だった、









カッと、強く光ったのは己の手首で…。
何、と思う前にそれは形を成して、










「ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」





目の前の「人」に突き刺さっていた。


ぶしゃり、と赤いドロリとしたものが顔に、体にまとわりつく。
それが気持ち悪かったが、そのあとに、爆発。


吹き飛ばされ、樹に叩き付けられた。



頭を、ぶつけたからか、ぼうっとしてしまったけれど、
目に、見えたのは、くろ、と、あ…




執筆日 20141011




[back]
×