意味


レンさんとはそこでお別れをして、そして私は元帥と、ユウと一緒に汽車に乗り込んだ。
ここからまた教団までの長い帰路をたどるとなると少々めんどくさい。といったら驚かれそうだ。せめてもう少し観光やら何やらできたら気分も削がれないが、今はまだ無理な話だろう。


『そういえば、ユウは』
「呼ぶな。」
『うん?ユウって?じゃあどう呼べと、』


荷物の多い元帥は、私の前で二つの席を占領して、そしてすでに意識は飛ばしてしまっている。
だから、いまだにピリピリしている窓際にいる彼へ、声をかければそういわれてしまった。とはいっても私は彼から直接アイリは聞いていないのだ。呼ぶなと言われてどう呼ぶか。


『もしかして、女の子みたいな名前だから嫌?』
「っ」
『あ、図星?』


彼は言葉に出さなかったけど、眉間にシワが寄っていたからすぐにわかってしまって、小さく笑ってしまった。
イントネーションにすると「You」だからあなたって間違えられそうかなとは思ったけど、東洋ということは日本しか該当にないが、中国とかそこらへんか。
ついさっききいた日本の状況じゃまず、生きられる気がしないから。


『ゆう、ユウか。』
「んだよ、」
『漢字にはどう書くのかなってそう思って』
「漢字?」
『そう、優しい、勇ましい、友だち、結ぶ、いろいろあるから』
「…ねぇよそんなの。」


思い付く限りの名前に使われそうな漢字をあげてみる。けれど彼は不服と言った漢字でこっちはみてくれないし、なによりない。ないとはどういうことか。片仮名でユウっていうことか?だったら、


『だったら、ユウに名前をつけてくれたヒトはユウにたくさんの生き方を選んでほしかったのかもね』
「っそんなんじゃねぇっていってんだろ!!てめぇは選ばれてエクソシストになったから!!」
『ユウだってエクソシストでしょ?確かに、私は選ばれてエクソシストになったけど、でも』
「関係ねぇっていってんだろ!黙れねぇのか!」


まさか、怒鳴られるとは思わなかった。
きっとこの子は悲惨な運命をたどってきたのか、それとも、無理くりつれてきたのか、エクソシストになる人間は、その場所からある意味「切り離されて」エクソシストになる。


『誰しも、心からエクソシストになりたい人間なんていないよ。』


ポツリと言葉をこぼしてしまった。
そうすれば、静かに目を見開いたユウに『少し席をはずすね』と笑顔を向けて個室をでることにした。
少しだけ考える時間もほしいし、私も大人げなかったと反省したい。ヒトの過去に易々とはいりこもうとした私が悪いのだ。

ただ、東洋人に会えたことが嬉しかっただけ。
とはいっても私自身は東洋人じゃないのだが、


190215




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