黒の教団




水の音だけを聞く
クロスと1年間世界をいろいろなものを見て知った。

「アイリ・マリアン」になって、私の世界はがらりと変わってしまったんだろう
彼の傍にいるせいかAKUMAに襲われることも多かった
普通の子供なら耐えられないものかもしれないけれど、私は異端だから



『(黒の教団、ね…)』



ただ相変わらずクロスは突拍子もない。
突然「黒の教団へ行くぞ」なんて言い始めた

最初クロスから聞いたAKUMA…もといそれを作り出したノアの一族戦う組織。
行くとはいったもののクロスはここに来ることを渋っていたが、さすがに私1人で行かせようと思わなかったんだろう。

まだ私は小さいから



「ずいぶん静かだな、怖いか」



じっと水面を見て黙っていたからかクロスが私に問う
水面からクロスと視線を移せば、彼は眉間に皺を寄せ私を見ていて、



『大丈夫。怖くない。少し考え事』



首を横に振って、なるべく笑顔でクロスに言えば、一瞬驚いたようだったが彼も笑った

ぎぃ、ぎぃと船を漕ぐ音が静かな空間に響く。

自問自答の繰り返しになりそうだが、改めて自分に大丈夫だと言い聞かせた。

きっと私よりも小さな子…いや、精神的にはきっと下の人が多い

私はひとりじゃないから大丈夫



「無理はするな」

『ありがとう』



1度頭を撫でられてまた笑う。
私たちは神の使徒

でもそれはしる人がしるだけ

周りから見れば異端者。



『(私がここにきたの理由がある)』



でも、私が見つけなくてはいけないものもきっとあるから。



20160706




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