馬を走らせて、向かうのは小田原城。
なぜかといえばこれが小十郎の策だからだ。
口元を釣り上げて前だけを見据え、そして一軍を作戦どうり向かわせた。
*****同時刻・小田原城*****
「ななななっなにぃっ!?」
場内の広間、家臣たちの前へ数歩踏み出てあたふたする一人の老人。その老人の名は北条氏政。
この北条家の現当主。
「奥州の独眼竜が、この小田原へせめこもうとしているじゃとッ!?」
なににあわてているかといえば、それは奥州の伊達が攻めてきている、ということで…
「殿、ご決断を…」
「この城を砦とし迎え撃つか、全軍を出陣させるか。 道は二つに一つ…!」
「うぅ…」
しかし、彼にとっては両方とも苦痛の選択。
小さくうめいたが、今の彼にはどちらかを選ぶ必要がある
「ご、ご先祖様より受け継ぎしこの城を… 偉大な北条の栄華と威光の象徴を、傷つけるわけにはゆかぬ…!」
そして、彼が選んだ決断は…
*-*-*
即席の陣を用意し、ふぁっとあくびを一つ。
これも作戦の一つ。
「来た!」
見張りをしていたやつの声を聞いて、細く目を開ける。続いて聞こえてくる声と、歩兵と馬群の地響き。
どうやら本当に引っかかってくれたようだな…
「派手に行くぜ、Let’sParty!」
ざっと抜いた刀を向かってくる北条軍へ向ける。
そうすれば、背後に控えていた成実含む兵たちが雄たけびをあげ、私と小十郎を残して駆け出して行った。
そう、すべてはこれで終わりだ。
一足先に疾風にまたがり走らせる。うまくやれば丁度 いいぐあいに追いかけてくれるだろう。
そしてその軍勢で…
『(武田の足止めをする。)』
それが武田の策を模倣した啄木鳥の戦法。一部崖になっているところから飛び出しそして武田の前に着地する。
『Ciao、』
ひらりと手を振ってそう言ってやれば、「伊達政宗!!」と若干怒りのはらんだ声がかけられるがそんなのは無視だ。
ここで止まってたら何のために足止めを用意したのかわからねぇからな。
『(せいぜいそこであがいてな。)』
こっちはこっちで勝手にやらせてもらうからな。
執筆日 20130816