刀がぶつかり合い、そして火花が散る。
婆娑羅の力は使わない、ただひたすらの刀の打ち合い。
こんなことをするのは幼少期以来だとふと懐かしくも感じるが、そんなことを考えるほどの余裕もない。
小十郎は、私よりも強いのだ。
私の背を常に守ってきたこいつは…「私の弱点」を知ってる
一瞬、小十郎が消えた。
その理由は簡単に分かる。
小十郎が狙ってるのは私の「死角」だ
『っ!』
それを回避するために、何度も何度も右側に来る小十郎を左目で追って、
だが、そんなことじゃ埒が明かないと、体をひねり、左で
『っく…』
待ち受けようと、した。
だが瞬間、長篠で追った傷が痛み、だが…
そんなことでこれを終わらせたくないと、そのまま刀を振り下ろす
けれど、小十郎のほうが早かった。
「御免。」
『っぁ!!!』
どすっと、うち込まれる刀の峰。
小さく声を上げてしまったが、その前に手から滑り落ちた刀。
そして見えなくなった小十郎と、首筋に落ちる痛み。
ぐらりと意識が遠のいていく。
けれど地面に落ちることはなく、包まれた温かさ
最後に聞こえたのは
「しばし、おやすみを…」
私を守ってきた、男の声だった執筆日 20140208