「貴様のせいで半兵衛様に叱られてしまった」

『あれは三成のせいだろう?
 それに、たまには寝ないとだめだ。』



むすっとしている三成を見ながら、くすくすと笑う。
昔に比べてものを食べるようになったしちゃんと睡眠をとるようにはなったが最近はうとうとしていることが多くなったからな。

ぺらぺらと書類をチェックしながらそういえば、三成はソファーに座る私の横へと座った。

きょとんっとして三成を見ればボスりと私の膝へと頭を乗せた。




『三成?』

「一刻したら起こせ、」」

『一刻って…』

「貴様が寝ろと言っただろう」

『いや、だからってなぁ』



不思議で、声をかければそういわれた、
一刻…普通に今の時代の時間で言えばいいのにな、

なのに、わざわざそういって、…


だが、そんな三成の右手に結ばれた徳川色の結い紐に口元が緩んだ。




「文句あるか。」

『いや、ないさ。
 あのころは、こんな風に三成と話せるとは思っていなかったから…』

「…」

『やっと、お前と絆が結べたっ…』



片目だけを開けて、そういった三成に、
思わず涙腺が緩んでしまったが、その前にするりとほほに這った三成の手。

それにはっとしてしまうが、重ねた手は、血に染まらず土色にもそまらず…冷たくない…


命の躍動が感じられる…温かいもの…




「一生憎んでやる。」

『え…』

「お前が私を忘れるようなことがあれば、」

『っお前…』

「どうやら危惧した通り聞こえていなかったようだな。
 だが、いい。



 結果的にお前は私を覚えていたのだから」



あぁ、そうか、なのに私はひどいことをしていたんだ。
つぅっと涙が流れたけれど、三成はそれをやわらかく拭った



「貴様は泣いてばかりだな。」

『うるさい、さっさと寝てしまえ、』

「貴様もたまにはやすめ。」

『あぁ、』




でも、あぁ、こんな幸せでいいのかと…不安になるが…
でも…いいのか…もう…




『おやすみ、三成、いい夢を…』






*-**-*




昔々、


今から約400年前…


一度は裂かれたその絆、


時巡りていま、再び。



執筆日 20130826



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