その後は瞬殺だった。

数人の男が路地に倒れている。


昔よりも弱くなったが・・・人を素手で殴るのは久しぶりだ
いつもは、グローブを嵌めているから人を直接殴ることは無い



『・・・っ』



普通、私のように体術を使う人間は、一般のものに使ってはいけない
その掟を私は破ったのだ・・・


男のそばから鞄を拾い、そしてはたいて汚れを落とす。



「家康・・・貴様なのか・・・?」



そして、今まで隠していたものも・・・

そうすべて終わりだ。
振り返り、微笑む。



『三成、大丈夫だったか?』

「答えろ」

『いやぁ、びっくりしたぞ、
 お前がいるなんて』



話をそらす。
無理やりなのは重々承知だ。

だけど・・・怖くて・・・



「家康、戯言をこれ以上私に聞かせるな!」

『ぅ、く!!』



グイッと、首にかかる結い紐が引っ張られる
息苦しい。

でも、それ以上に三成の瞳を見ているのは・・・辛くて・・・



「言え、記憶があると、 私との約束がある。」

『っみつ・・なり』



そっと、紐を掴んでいるその手に触れる




離してくれ、頼む、泣きそうなんだ・・・っ




『わ、私は・・・っ』



私は三成の望んだことはいえない。

そう言葉を紡ごうとしたのに、それは叶わなかった。


合わさった唇。


目の前に、三成の顔。
互いの目があい、あのきれいな瞳が・・・近くにある。



すぐに離れて、また、合わさって



『ん、ぅ・・・っ』



口付けなんて、、前の世で一度だってしたことなかったのに


なのに、なんで・・・




「千代・・・」

『い、っやだ・・・っ』


「っ・・・」




甘い声で呼ばないで、心の中で叫んで

逃げた






*-*光の悲しみ*-*

《なんで、あんなことをしたんだ・・・三成・・・っ》


涙が溢れる

せっかく、せっかく



普通に戻れると思ったのに



執筆日 20130620



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