罵声が聞こえる


部活が終わったあとの夜道。
いつものように、帰っていたときの、それだった。


知らずに走り出していた。
その中に聞こえた声に、体中が震えた。



『っ・・・』



過去のきおくのなかで 、アイツが一番恐れていること。
これからの人生で、三成が後悔する?


そんなの、絶対に許さない



人気の少ない路地に入った瞬間に聞こえた殴る音。

一つじゃない、いくつも。
それに、血の気が引いた。


だめ、だ



『何してるんだ!!』



バッと路地に飛び出す。
だめ、だ


路上に転がっているのは、三成。
持っているのは、竹刀

あれはきっと、秀吉殿が三成に上げたものだろう、
だから、守ろうと


はは、アイツは、相変わらず・・・



「女ぁ?」


「あー、こいつの彼女さんですかー?」


変わらない。
だが、良い判断だ。

三成は・・これからの人生を後悔しちゃいけない



「なー、お譲ちゃん。
 カレシよりも俺たちにしない?」


ふつふつ、ふつふつ

怒りがわいてくる。
あぁ、こんなにおかしくなりそうな怒りは酷く懐かしい。

肩に置かれた手を、そのまま掴み利き手で思いっきり男の顔を殴った。


「ぐぇ!」

「な、っ!?」



ドサリっと重力にしたがって崩れ落ちた男に、冷たい目を向ける、
そのまま転がった男の腹に足を乗せて力をかけた



『儂の大切な友に、何をしている・・・』



声が低くなる。
もう、今も昔も関係なんて無い
鞄を足元の男にたたきつけた。

元々、気絶しているが良い気味だ。

残りの二人は、どうやら私が異常だと思うらしい。



すぅっと、息をはき構えるのは・・・ 




「っいえ・・・やす・・・」



昔のような、構え。
三成の声が聞こえたが気にする余裕なんて無かった。


だが、昔のように力は無い。
三成に手を出させるわけにはいかない

三成は新人戦を控えてる。

私は、もうボクシングをやめても構わない
三成が自由に動ければ




『三成・・・儂がお前を守るから。』



秀吉殿の下にありたいのであれば、じっとしていてくれ



執筆日 20130620



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