花を手向けた後、向かうのは大阪城。

勿論、昔のまま残っているわけでもなく復元されたものだから、私の部屋の私物も・・・三成のものも無い、
特に三成のものは燃やされてしまったから・・・


でも・・・



『(これだけは・・・あるんだよな・・・)』



私の手首に結わえられている、黄色の結い紐。
これは、私から三成に送ったけれど、私には似合わないと、返されてしまったもの。

まぁ今になって残ったものだ。


私しか知らない場所に隠して、それから今になって掘り起こしたから。

まぁ、黄色と紫は反対色。
似合わないのも無理ないが・・・

私が三成から貰った紫色のその紐は大切で大切でこっそり首からずっと下げていた。
あの時に切れてしまったけど・・な・・



『こんにちはー』

「お、いらっしゃい譲ちゃん、今年も来たのかい?」



そして、昔は大阪城の城下だった場所、
昔と同じままとはいかないが当時からあった、老舗。

何度も来ているから顔も覚えられてしまったが、ここの主人は気さくだから良い。



「譲ちゃん、新しいやつがあるが見てみるかい?」

『新しいやつ?』

「なんでも、あの有名な徳川家康が石田三成との友好関係にあったときに互いに贈りあったものらしいんだけどな、

 ほら、」

『っ』



そう、考えていたら目の前に出されたのは、二本の対照的な結い紐。
今、私がつけている黄色に、紫色の石田の家紋。

そしてもう一つは、紫色に黄色の徳川の家紋


驚きすぎて、顔を上げたら、笑顔が返された



「チャームは俺が勝手にやったんだけどね、
 でも譲ちゃんを見た時にな、まるでと思ったんだよ。」

『っ・・・』



その言葉に、泣きたくなる。
テレビで流れる史実を見た大体の人間は私と三成の仲は最悪だとか言われ続けてきた。
でも、こうして本当のことを知ってくれている人がいる。

それだけで、嬉しい。



『これ、下さい、」』




嬉しかった、ただ、嬉しくて


学校もサボっているわけだが、サボっている証拠ともいえるそれを欲しいと思った




*-*光の記憶*-*



紫の紐は昔のように首に結った。
今の私の身体では少し長いが、そのうち元のようになるだろう。



『(フフ、あの時と酷く似ている)』



ただ、これは三成から私が受け取り、つけてもらったものだけど



執筆日 20130614





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