「千代!!」

「!?」



悲鳴にも似た声が聞こえた。
あの女・・・孫市の声で、あいつの名を呼んだ。


廊下へとはじかれるように見れば3クラス離れたそこに、私のように廊下に飛び出た孫市の姿があった

そしてその先には・・・こちらに背を向けて走る・・・千代のすがた。



「・・・何をした・・・」



声が低くなる。
歩き出し、孫市に近づけば私を振り返り、一度表情を崩して下を見た。



「千代に何をした!!」



声を張り上げる
何があった。

何故、千代は逃げた

原因はなんだ、誰だ、


千代を苦しめるものは・・・許さない




「答えろ!!孫市!!」


「闇色さん。」

「!」



肩を掴み、そして叫べば、聞こえたのは・・織田の妹・・・。
視線を向ければ、寂しそうにマユを寄せていた



「闇色さん・・あまり光色さんを追いかけないで・・・」




ゆるりっとその視線が千代の去った方向へ向く



「光色さんは・・・かわいそう・・

 ぐるぐる、ぐるぐる・・・ずっとずっと一人ぼっちなの・・・」

「・・・なに?」


言われた事柄に、にらみを強くする
一人ぼっちだと?

何を言っている・・千代には・・・



「一人ぼっちで・・くらい闇の中にいるの、逃げ出せないの。
 ずっとずっと縛られてるの・・・

 誰にも開けないぐらいに鎖を巻いて、


 市たちを・・拒絶してるの・・・ 」



きっと悔いているのね。


そう、いってゆるりと教室に戻っていった、その女に、何もいえなくなった



執筆日 20130601



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