悲鳴が聞こえた。
時間も大分たち、他の生徒がだんだんと増えてきた頃だ。


悲鳴が・・聞こえた。

私の良く知る声。


伊達が眉間にしわを寄せていたが私の足は動き出す。



人を掻き分け、そして人気のない場所・・・
というよりかは・・・裏庭にその人物はいた。

座り込み、身体を縮こまらせてその傍らには雑賀孫市。

私の視界から若干、死角になる形で、いる。




「家康・・・ッ」




思わず・・・その名を呼んだ。
ゆるり、と顔を上げて家康は・・・顔を上げた。

容姿は・・・家康の幼い頃にそっくりだ。


ただ、苦しげにゆらゆらと瞳が揺れている。


そのまま、家康は孫市の制服の袖を掴み、孫市はそれに釣られて視線を家康に移す。
その瞳は・・・悲しげに細められていた


・・・どういうことだ・・・


思わず大股になる。
後ろで伊達が声を上げたが今の私には関係ない



「石田、やめろ」

「っなに? 貴様、私の邪魔立てをすると」

「千代は「徳川」じゃない」



だが、それは家康を背に隠す孫市が止めた
睨みつけるが、そんなことは関係ないと首を横に振る。


「Hey、どういう意味だ、三代目。」

「そのままの意味だ。」



空気が張り詰める。
すがるように、孫市の腕にしがみついている家康は・・



覚えていない・・


覚えて・・いない・・・?





「っ私を、裏切ったというのか・・・ッ」



口から出た言葉に、孫市が静かに目を開く。



*-*-*-*闇の転生*-*-*-*


((何故だ、何故だ・・・っ!!))


何故、再び私を裏切る・・・ッ





執筆日 20130527



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