『よし、』
しっかりと制服を着て、鏡の前に立つ。
今の儂の姿・・・いや、私の姿は巫殿が着ていたような学生服では無いぞ!
確かに去年までは着ていたがな!
だが今私が来ているのはブレザーだ。
スカートは基準よりも長い。
理由はいろいろあるが、昔のように身長が伸びるのであれば長くしておかなければ大変なことになる。
「千代ー早くしなさいー」
『はーい』
あぁ、もしかしたら分からないかもしれないが、千代、とは私の幼名だ。
「家康」になる前の・・・私の女子としての名。
だからか、私の身長もまだあの頃に近い。
さて・・・
『(今日から高校か)』
何の因果か、
私が入学するのは特別生として推薦された大学附属の高校
名を、婆娑羅学園という。
本当は都内の高校にはいろうと思っていたのだがな・・・。
遠いから、今日からは一人暮らしなんだ
「本当に大丈夫?お母さん帰っちゃうわよ?心配だわぁ」
『安心してくれ! 私は伊達にボクシングをやっていないだろう!』
まぁ、こんな容姿だから心配されるが、実際私は「儂」の頃をあわせれば母上よりも年上なのだ。
とにかく、見た目はこんなでも、中身は戦国を生き抜いた武士。
そうそうそこらの野蛮な男には負けないさ。
『じゃあ、母上、』
「えぇ、行ってらっしゃ」
だから、大丈夫。
そう何度も
自分に言い聞かせた
執筆日 20130525
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