「何でよ…」
『え…』
荷をまとめ、そして出ようとしていた矢先に呼び止められる。
きょとんっとして首を傾げればそこにいたのは天女殿で…
今は、だれもいない。
豊臣に戻るという三成殿と途中まで一緒にということでいそいでいたのだが…
その前にこの女に止められてしまったのだが…
「何で、何でっ
雪よりも優遇されるのっ!! 雪よりも愛されてるのよ!!
雪の本当にほしいもの、だれもくれないじゃない!」
『っ!!』
突きつけられるのは抜身の刀。
はっとして身構えたけれど重い着物では動けなかった、
『は、ぐ…っ』
左肩から右の腹まで走った痛み。
どしゃりと崩れ落ちて、傷口を抑える、
思ったよりも、
『(ふか…い…っ!)』
どくどくと紅い着物がさらに赤に染まっていく。
息が、苦しくなって…
「っ雪ちゃんなんで血の…っ!!」
「雪…?!」
「幸!!」
聞こえた、大切な二つの声と…私がこれより手に入れようとした新しい縁の人。
掻き抱かれればずきりと傷口が痛んだ
「なんで…何でこんなこと…」
「どういうこと、だよ!!」
咎め、咎め、
何に対して、そのように言えるのだろうか…私には理解ができないが…
『みつ…みつなり…どの』
「すぐに止血をする、眠るな。」
『は、…い…』
ただ、今はいうことを聞いておこうと、痛みにもまれそうになりながらも、必死に意識を保った
執筆日 20130831