想イ輪廻 | ナノ

04


(45/45)





裂界武帝・豊臣秀吉

蒼烈瞬躙・竹中半兵衛


誇り高き、二人を一気に失った豊臣軍。

裏切りを起こしたのは、私を助けてくれた一人、東照権現・徳川家康。


もう、戻ることは無い、この関係。




『・・・』




一人、半兵衛様と一緒に策を練った部屋に閉じこもる。
ここには、半兵衛様が遺した物がたくさんある。


でも、そのうち忘れられてしまうんだろう。


人は、簡単に死に逝くものだと、改めて実感した。



泣きすぎて、もう涙は出ない。

それで良い。


私は、これから・・・半兵衛様のようになるのだろうから・・・。




『家康・・・』




貴方の言いたいことは、よく分かったよ。

これは、こうなるって決まってたこと。


だから私は文句言わない。




でもさ・・・ 






『やっていいことと、悪いことがあるよね。』





私から、居場所を奪った。


私に教えを説いてくれる人を奪った。




パンッ



「弥月!!」

『・・・三成さん・・・』



夕日に照らされる私に、扉を思いっきり開けた三成さん。

この綺麗に片付いた部屋を見て、一瞬驚いてはいた、が、すぐにもとの表情に戻り、私のところまで来た。




「半兵衛様は、最期になんとおっしゃっていた。」

『三成さん・・・』

「っなんとおっしゃっていたのだ!!」




あぁ、でも、私よりも、ずっと三成さんの方が辛いんだ。

ずっとずっと…あの人たちの背を追い続けていたから



『ただ、笑っていました。
 秀吉、と、彼は、笑っていました。』



言葉は、紡げなかっただろう。
それ以上は、私だって、いきなりのことがあって記憶があやふやなのだ。

その言葉を聞いた三成さんは、私を見る。


けれど、その瞳に、今までの色は無い。



「家康が・・秀吉様を・・・」

『・・三成さん・・・?』

「っ許さないっ秀吉様を、家康は裏切ったのだ!!」





あぁ、彼も、また。






*-*終端之時*-*



猫はただ、狂い行く人を、見ました。



『三成さん。

 私は、貴方のそばに居ますから。』

「裏切りは許さない。」

『絶対に裏切らないから・・・』



ただ、猫は、その人の目に、




寂しさを見ました






執筆日 20130312


 
//×


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -