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戦は、終わってしまったのだろう。
豊臣軍の、敗戦という形で…
終焉のホラガイが鳴った。
遠めに見えていた赤い、その人が崩れ落ちた。
周りに居た、兵士達が気がつかないわけが無い、
動揺が走り、誰も私の声を聞かない。
私の、声も、出ない。
『ひ・・・っく・・・う・・はんべ・・・様・・・っ』
ポロポロと、涙がこぼれて仕方が無い。
この、まけは、わたしのせいだ。
崩れ落ちた半兵衛様を支えて、何度も、何度も、呼んだけれど、
もう、彼は、動いてはくれなかった。
『半兵衛さまぁ・・・っ目を、目を開けてくださいよ・・・っ』
彼は言った。
-秀吉のためだと-
まるで、自分が、秀吉様の命とでもいうように・・・
彼が意識を失った直後に、秀吉様は、家康に討たれた。
「弥月様・・・」
『・・・兵を、集めて・・・
それから、半兵衛様を部屋へ・・・』
「です、が」
『・・・なら、さっさとして、
半兵衛様の後継を私は継ぐ。』
膝の上に寝かせた半兵衛様の頭を軽くなでた。
紫色の仮面を外せば、まるで、ただ、眠っているかのようなその顔
口元の血を袖で拭えば、今にも起きてくれそうなのに・・・
なのに・・・
『おやすみ、なさい・・・竹中半兵衛・・・っ』
どうか、来世では、貴方が大切にしていた豊臣秀吉、その人と・・・どうか・・・
『わら、って・・っ居てくださいな』
あぁ、貴方との約束は結局護れないまま
執筆日 20130312
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