想イ輪廻 | ナノ

02


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確かに、私は、知っていた。

家康から、あんなことを言われたら考えない方がおかしいんだ。


予期していたのに・・・対応できなくて・・・結局・・・たくさんの人が傷ついて行く。



「っゲホ・・ゴホっ!」

『っ半兵衛様!』



そして、隣で崩れ落ちた白。

ぎょっとして、声を張り上げてしまう。
こんなこと、してはいけないのに、

半兵衛様が咳き込みながら私を睨んだ。

はっとして、下唇をかむ。


軍師が、指示を出すものが、動揺すればその動揺は軍全体に広がってしまう。


注意として、最初に言われたのだ。



でも、どうしたらいいかなんてわかんない。

何百人の命なんて、分からない。


一人救うのと百人救うの、

どっちを優先する、なんて、決まってて




『っ騎馬隊出撃!! その後、騎馬隊の進路を妨げないように銃器、弓矢隊も続け!!

 先にいる特攻軍を、秀吉様を守れ!!』



声を張り上げる、
どうにか、どうにか半兵衛様を助けたい、


お願い、お願い、変なことなんて、急なことなんておきないで!!




軍が出撃したのを確認して、すぐにしゃがみこむ、

いまだに咳き込む半兵衛様の手や、床には赤い血溜まり。

むせ返るような、血の匂い。



『っ戻りましょう、駄目です、これ以上はっ』

「っ秀吉、秀吉が戦線に居るんだよ・・・なのに、僕だけ」

『大丈夫、秀吉様なら絶対にお戻りになられますから、だから、今はっ』



これ以上は、ダメだ。
半兵衛様にこれ以上、無理をさせてしまったら・・・

肩に置いた手に、そっと、血に濡れた手が触れる。



「いい・・・僕は、軍人だ。」

『!』

「ここで、死んでも良い・・・だから・・・』




最期まで、ここに居させてくれ。




彼が吐き出したのは、




己の死を知る、其れで。





彼の史実の、一つだった。


あぁ、やっぱり、ここは・・・





少しだけ、私の知る世界のようだ。





執筆日 20130312


 
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