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『(早く・・・っ早く!)』
息を切らせて、走る、走る。
さっきから敵の攻撃を受けて、手も足も血に濡れてる。
もちろん、銃を乱発しているわけで、手の火傷もどんどん酷くなっていく。
痛みに耐え握るレイピアには血が滴っている。
けれど、もう、戦場から離れ森・・・というよりも、山に入ることが出来た。
『はぁ・・・ったく・・・こっちはけが人なんだっての・・・』
とにかく今は見晴らしのいい場所に行く為に足だけは動かさなくちゃ・・・。
ボー・・・
幾度目あのホラガイの音。
またどこかで豊臣が陣を取ったか・・・それとも・・・特攻隊を追撃するための新たな進撃の前触れか。
早くしないと、失われる必要の無い命までなくなってしまう。
息を切らせて山道を上って行く。
木々の割れ目、そこからしっかりと敵本陣が見えた。
ケースを開き、ライフルにスコープを着け、残り少ない銃弾を装填する。
それから、構えて距離を確認する。
だいじょうぶそうだ・・・。
できれば心臓あたりを・・・胴体を狙いたいが・・・
だが甲冑を砕けるかどうか分からない。
だったら首、と思ったが細すぎて私が不安だ
だったら・・・
『(兜を被る前の・・・)』
まだ、あの無防備さがあるのならば・・・いける。
血を失って震える体。
すこし寒気がする・・・でも・・コレさえやれば・・・
パァン・・・
高らかに響きし銃声。
肩に慣れ親しんだ衝撃が走ったが、よろけることはない。
それに、安堵しつつ、ズコープ越しに、地面に倒れる総大将を見届けた。
それに、周りにいた家臣たちが慌てていた。
この距離からの射撃だとは思わないだろう。
まだ、この時代の銃はここまでの距離から撃てない。
『Crezy・・・か・・・本当にそうかもね・・・』
ライフルを落とす。
それと同時に涙も一緒に落ちて行く。
仲間のため、命のため、
そう言っておきながら、私は・・・
『(命を、奪っているじゃないか・・・)』
執筆日 20130304
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