夏がおわれば心地よかった風も
今では止んでほしいだけのただ冷たい風が吹いている屋上に
俺ともう一人の人間がいる


「授業いかないの?」

「なまえは行きんしゃい」

「隣の席丸井だから嫌」

「先週までつきあっとったのにのう」

「終わった話だからいいの」

「原因はブンちゃんなんか?」

「束縛激しすぎる」

そんなこととっくに知っていた。
ブンちゃんが嫉妬深いことも
どんなになまえのことを大切に
思っていたのかも、全部。

「どうせ丸井から聞いてたくせに」

「バレとったか」

「仁王のせいだよね」

「プリッ」

「あたしが不幸になってたのしい?」

「それが俺の幸せなり」

「じゃあ一生幸せになんてなれない」


「なまえはずっと俺の傍でいじめられときんしゃい」

「冗談きついよ」

「本気じゃ」

俺がそう言うと
彼女は驚いた顔を見せたが
すぐに余裕のある表情へと戻した

「そんなの知ってる」

「嘘はいかんぜよ」

「それにしても仁王にしては素直だね」

「プリッ」


素直な詐欺師
(彼女がふりむくのはまだ先のこと)


    

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