梅雨も明けて日差しがまぶしくなり、
明日で夏休みかと思ったら
目の前の奴はすごく不機嫌そうだった。
「財前おはよ」
人が折角声をかけてやったのにもかかわらず無視されてしまった。
きっと区内大会が昨日終わって疲れたんだろうなと
自分に言い聞かせてダメージを軽くする。
そうでもしないと自分が持たない。
自覚するのはすごく嫌だったが私はどうやら
財前に惚れているらしいのだ。

自分では全然落ち込んでないつもりだったが
まわりからみるとそうでもないようで
「みょうじちゃんどしたん?」
「小春先輩・・・」
私の相談に良くのってくれる良き先輩から
声をかけられた。今日はユウジ先輩と一緒じゃないみたいだった。
「元気なさそうな顔して・・・」
「いつも挨拶したら、おんとかフッとかくらい言うのに
 今日は完全に無視されたんです!!!」
「あらまあ・・光も案外子供なのかしら」
「え?」
「知らんかった?しょうがない特別に教えてあーげーるっ!」
私よりも女の子らしいんじゃないかと思うくらいに
小春先輩はキラキラしてた。いやいつもキラキラしてる。
「あの子今日誕生日なのよ」
「そうなんですか!!!?」
「みょうじちゃんに言われたかったんやない?あの子も素直やないし・・・ってちょっと!?」
小春先輩の説明を無視して私は無我夢中で走りだした。
なんでこんなこと忘れてるんだろうとか思ってたけど
よくよく考えたら忘れてるんじゃなくて知らなかっただけ。

「おった!!!!」
「なんやブス」
「ブスやない!!!」
「うっさいわーはよどっかいけ」
「誕生日おめでとハゲ!!!」
「誰がハゲやブス」
「素直に喜べハゲ」
「俺はハゲとらんわ、お前と違って」
こいつ絶対に喜んでると私の思い込みだけど
笑いがこらえきれなかった。
「きしょいわ、お前ほんと」
「何とでも言いや」
「まあええわ・・その」
「なん?」
「やっぱなんでもない」
「はぁ?!」
「うっさいブス、わざわざどうでもいいこと覚えんなや」
「はいはい」


きみ攻略マニュアル
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