「その手に持ってる怖いもの置いて」
「ピアス付けたい言うとりましたやん」
いつの話だよそれ。
随分前だなとおもいながら
必死に生意気な後輩に抵抗する。
「財前、やめといたり?」
優しい声をかけてくれるのは
いつも白石だ。
多分こういうところがみんな好きなんだろうけど
残念ながらエクスタシーばっかうるさい
からなあ。ほんと残念。
「なまえ先輩」
「なに」
「開けさせてくれたらケーキバイキングおごったりますわ」
「おーじゃああけてー」
「引っかかるん早いっすわ」
「しまった」
「じゃあ耳失礼しまーす」
少し痛くて財前にかるく抱きついた
状態でなきそうになってしまった
「先輩、ふさがらんようにこれ毎日つけといてください」
「これ財前のでしょ」
「それもう一つあるんで」
「おそろい?」
「ペアっすわ」
後輩のくせして生意気。
釣られた魚
(バイキングに行く時はおそろいのピアスで)