(初恋篇)



「隆ちゃんはさ、何であの学校に入った訳?」

夜。アイスを食べながらふと疑問に思った事を聞いてみた。
学力も低いしいい噂も聞かないし、いいとこなしの銀魂高校。
いつも近所のババア達が噂しているのが聞こえる。
隆ちゃんは課題らしきワークから目を離して、頬杖をついた。

「俺さ、丁度お前の年ん時に色んな学校見学しにいったんだけど」
「うん」
「まあ銀魂高校っていい噂ないじゃん。でも俺あんまり頭よくないし、先生に銀魂高校ラインって言われてたから見に行ってみたんだ」
「確かに頭よさそうに見えて全くよくないよね」

ぼそっと洩らしたら軽く頭を小突かれた。

「そん時に聞こえた、部員の声と剣がぶつかる音に惹かれて俺は道場覗いてみたんだ」

すっげぇびっくりした。
白髪の天然パーマの男が、すごいいい瞳をしてしなやかに動いていた。
練習胴着を着ている男子よりも年上で、白衣を着ていたから先生だってその時思った。
その先生の剣を振るう姿、めちゃくちゃかっこよかった。
だから俺は銀魂高校に入学して、初心者だけど剣道部に入部したんだ。


「いつかはその先生と勝負して、認めてもらいたいって思ってるから」
「………」
「え、何?」
「いや……白髪の天パって…そんな強かったんだ」
「うん。すごかった。入学してから何度も部長と坂田先生の練習を見てるけど、ひとつひとつの動きが綺麗なんだよ」
「ふーん…」

「ていうかさ、真央。お前も銀魂高校に来いよ」
「は?いやだ」
「なんでだよー。いいじゃんかよー」
「だって変なんだもん。隆ちゃんがいつも言ってる友達とか、クラスメイトの行動が」
「そりゃまあ…神楽とか近藤とか、猿飛とか色々おかしいのいるけど…。でも、根は皆いい奴。ってかさ、Z組はバカな奴らの集まりだから気楽なんだよ!」

楽しそうに笑う隆ちゃんを見て、少し羨ましく感じた。

「坂田先生はいつも面白い授業してくれるからなー。ツッコミの奥義とか、ジャンプの鉄則とか、卓球大会とか」
「……………それ授業じゃないじゃん」


やっぱいや。

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