(入学篇)



春。
桜がまだチラチラと咲いている中、銀魂高校の生徒は自然と学校の門へ入っていく。
静かで皆今にも眠りそうなほど暖かい風が春の雰囲気を思い立たせる。
新しく3年生になった女子高生たちも、今年こそまともな1年が来てくれたと喜びに満ちた表情をしていた。

「よかったー、みんな可愛いね」
「うんうん。ホント去年みたいなやつら来たらどうしようかと」
「あいつらさえ隔離させとけば私ら怖くないよね」
「ヤンキーとか多いけどさ、まっうちらの友達だし?」
「ははっそうそう!生意気な1年来たら任せちゃおうよー」
「マジZ組は銀魂高校のゴ」

ドゴォッ

「きゃああ!え!?何!?どうしたの智子!」
「いっ…たー」

楽しそうに大声で話していた女子高生が突然後ろから押されてそのまま倒れこんだ。
残りの2人が素早く後ろを睨みながら振り返る。
3年生となった今、怖いものはもうない。
しかしぶつかった本人はそのまま倒れこむ3年生に声もかけずにスタスタと歩く。
耳元にはジャンジャンとうるさい音楽をイヤホンで聞いて。

「っちょっと!待ちなよアンタ!」
「見ない顔だけど1年でしょ!?謝りなよ!」

ピタッ

急に女が止まって、周りにも響いていた音楽がピタリとやんだ。
その場にいた全員が面白半分で俯いている女が顔を上げるのを待ち望んだ――


「………あ"ぁ?」


眉間に皺を寄せ鬼のような表情で振り返った女に、誰もが凍りついた。



「…んだよ」
「イ、イエ、ベツニ」
「ヒトチガイデス」
「ドウゾイッテクダサイマセ」




女は小さく舌打ちしてまた進んだ。が、しばらくして再び立ち止まり振り返る。





「先輩、糸ほつれたパンツ丸見えですよ。みかん柄」



「「「「プッ」」」」





その場にいた1年生全員が笑いを吹きだしたのは、言うまでもない。



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